7月17日放送のNHK朝ドラ「虎に翼」第78話に黄色い悲鳴があがった。なぜなら、岡田将生演じる航一が寅子(伊藤沙莉)の顔を一瞬だけ見つめ「昨夜、泣きましたか?」と質問したから。
寅子は前日、娘の優未(竹澤咲子)から父・優三(仲野太賀)がどんな人だったのか教えてほしいとせがまれるも、何を話せばいいかわからなくなって胸が詰まり、優未が眠ってから布団の中で泣いていたのだ。テストになると緊張してお腹が痛くなるという優未に、お父さんも緊張するとすぐにお腹が痛くなる人だったと教えることはできても、それ以上、何をどう優未に伝えればいいのか、寅子は悩むと同時に、思い出にできるほど優三の死を受け入れられていない自分に、気付いてしまったのかもしれない。
そんな翌日、昼に顔を合わせた航一からの「昨夜、泣きましたか?」は、通常なら心をつかまれるところだが、航一の言葉に寅子が「えっ?」となった瞬間に、杉田弁護士兄弟の弟・次郎(田口浩正)が登場してきた。そのため、寅子は航一の質問をきちんと受け止められなかったのだが、ネット上には黄色い悲鳴が相次いだのだ。「こんなこと言われたら惚れてまうやろー!」というのがほとんどの意見で、史実上、寅子は航一と再婚するので「再婚フラグ」とも言えるだろう。
航一と寅子の間に入ってきた次郎弁護士は、書記官の高瀬(望月歩)が「しっかりしないと戦死した2番目の兄が成仏しない」と活を入れられたところ激高したというエピソードを披露。「最近の若者は、どこで堪忍袋の方が切れるかサッパリわかりませんな」とボヤくも、航一は「思い出にできるほど、お兄さんの死を受け入れられていなかったんでしょうね」と芯を食った感想をボソリと呟き、ここで寅子は航一をハッとした目で見つめてしまうのだ。「昨夜、泣きましたか?」とオンナたらしが吐くようなセリフでも、岡田演じる航一が言うとデリカシーに欠ける率直さに聞こえるから、このキャスティングはまさに「神」だろう。
思い出にできるほど、優三の死を受け入れられていない寅子と、どうやら妻の死を受けいれられていないような航一。7月18日放送の第79話、19日放送の第80話でも、2人が絶妙なやり取りをするシーンが見られた。心を交わすようになっていく様にますます興味津々だ。
(津島修子)