放送中のドラマ「夫の家庭を壊すまで」(テレビ東京系)での竹財輝之助の演技が見事だ。
竹財が演じているのは、高校時代からヒロイン・如月みのり(松本まりか)の財産を目当てに交際を始めて結婚まで持ち込む一方、高校時代に好きだった理子(野波麻帆)との偶然の再開を機に10年以上も不倫関係を続けているクズ夫・如月勇大。
竹財は2004年放送の「仮面ライダー剣」(テレビ朝日系)で「仮面ライダー」について取材、執筆をするフリーライター・白井虎太郎として役者デビュー。仮面ライダーには変身しないキャラだったが、メインキャストの1人で、頼りなさそうな文化部系男子の虎太郎のファンだった若いお母さんは少なくなかった。
2018年放送の深夜ドラマ「ポルノグラファー」(フジテレビ系)で猪塚健太とW主演し“文学的ボーイズラブ”の世界に多くの女性を引きずり込んで話題となった。
その頃から「竹財輝之助って知ってる?実は好きなんだよね」と言われる“知る人ぞ知るイケメン俳優”としてのポジションを構築。現在では“クズ男やダメ男”を演じさせたらハマるシブい俳優として広く知られるようになった。
さる8月26日放送の第7話では、さんざん「みのりはニブいから」とバカにしながら理子との不倫関係を平気で続けていた勇大がみのりから初めて反撃され、視聴者からは「壮大な『スカッとジャパン』を見ているような爽快感」「勇大ざまぁ」「勇大に鉄槌を!」などと大喜びされる「神回」となった。
みのりを演じている松本が、あっちへこっちへと感情を大きく動かし、様々に変化する表情を見せていくのに対して、勇大を演じる竹財は、とにかくアワアワ、オタオタするばかり。みのりから不倫の証拠を次々と叩きつけられ、怯み、たじろぐ勇大の情けない姿は、竹財の役者としての魅力が最大限に活かされていたのではないだろうか。
8月30日にスタートした、中村倫也主演ドラマ「Shrink~精神科医ヨワイ~」(NHK)では、弱井(中村)の父親の右腕として東北で経験を積み、東京でクリニックを開業するデキる男・早乙女瞬を演じる竹財。スーツが似合う“クズじゃない竹財”の魅力も、話題になりそうだ。
(津島修子)