若い頃はファンションをもっと楽しんでいたけれど、大人になってからは無難なファッションが増えたと感じている人は、水原希子や世界的ラッパーのカニエ・ウェストの妻であるビアンカ・センソリのファッションに、首をかしげているのではないだろうか。9月25日に更新された「ELLE Japan(エル・ジャポン)」のアカウントに動画で登場した水原の服装には、どうやら賛否両論が飛び交っている。
「サンローラン」のファッション会場でインタビューを受けている水原は“透けた素材の艶っぽいカーキのドレスを着ている”との内容の自己紹介をしているのだが、透けたドレスの下には黒いアンダーウエアのみで胸用の肌着はなし。水原は自身のバストトップ(ニップル)を隠すように両手でマイクを持ってインタビューを受けているのだ。
女性も男性と同じように公共の場で上半身はマッパになることを法律的にも文化的にも受け入れられるべきと主張する「フリー・ザ・ニップル」というキャンペーンが、世界的トレンドの1つになっていることをご存じだろうか。
日本の公共の場で女性がバストトップを露わにしていたら、公然わいせつ罪に問われることは間違いない。世界は広く、日本で「フリー・ザ・ニップル」のキャンペーンを展開することは、かなり厳しいと思われる。2021年1月からHuluで配信されている半分ドラマ、半分ドキュメンタリーの新ジャンルドラマ「ブラを捨て旅に出よう~水原希子の世界一周ひとり旅~」もタイトルを見ればわかるように、このキャンペーンの一環だ。
水原は自分自身を道具にして、懸命にキャンペーン活動をしていると言っていいだろう。世界的ラッパーのカニエ・ウェストの妻であるビアンカ・センソリも、これまでに何度もマッパに近い服装で公共の場に出現しては、公序良俗を巡る議論がされている。
9月に夫婦で来日して、ストリートファッションアイテムをショッピングしている時も、カニエは黒の長袖パーカー、ハーフパンツ、スニーカーという至って「普通の服装」なのに、ビアンカはペールピンクのユニクロで販売されているエアリズムの胸用肌着によく似たキャミソールに、膝上25センチほどの薄手のロングガードルような、ペラペラのバイカーレギンスのような、キャミと同系色のボトムスに黒いロングブーツという「それアンダーウエアだよね?」と言いたくなる服装だったから、ここでも世界は広いと痛感した。
水原のファッションには思想や主張がある。対して、ビアンカのファッションには思想も主張も感じられない。それどころか夫のカニエに洗脳されて、このようなファッションを「させられているのではないか?」と疑いたくなる。似ているようでまったく似ていない2人のファッションは、これからもおそらく疑問視されながらも注目を浴び続けることだろう。
(森山いま)