入山法子はもっと注目されていい役者だと思う。静かな空気感をまとい、じわじわと浸透してくるように心の奥に忍び込む、浸食系女優だと勝手に思っている。
2022年7月期放送の深夜ドラマ「雪女と蟹を食う」(テレビ東京系)では、重岡大毅演じる強盗目的で自宅に押し入ってきた男と、家も夫も捨てて逃避行に出てしまう雪女のようなヒロインを演じているのを見て「似合うなぁ」と毎週楽しみにしていた。
同年12月公開の映画「天上の花」では、東出昌大演じる詩人の三好達治から歪んだ愛情を向けられる詩人の萩原朔太郎の妹・葉子を演じているのを見て、今年の入山はチャレンジしてるな、と感心した。
2023年5月2日深夜から放送された「明日、私は誰かのカノジョ シーズン2」(TBS系)で演じた元バンギャでスピリチュアルにハマる泡姫から飲食店従業員に転職する40代の江美も、病んでいくプロセスがリアルで顔を歪めながらも夢中になっていた。
同年10月期放送の「うちの弁護士は手がかかる」(フジテレビ系)第1話ではドラマのアシスタントプロデューサーとして私生活も犠牲にしてフリーとして働き、プロデューサーからのパワハラを受けて失職の危機を迎えるも、第9話ではプロデューサーに昇格している姿を見てホッとした。
今年9月5日放送のNHK朝ドラ「虎に翼」では、「原爆裁判」で当事者尋問に立つことを決意した原告の1人であり、「今を生きる被爆者」で顔と首にケロイドがある吉田ミキを好演。凛とした和服姿の入山は美しいがゆえに原爆の悲惨さ、戦争の恐ろしさを際立たせる役割をしっかりと果たした。
そして10月11日スタートの「ライオンの隠れ家」(TBS系)では、山梨のカラオケスナック「かすみ」のママ・須賀野かすみを演じ、カラオケで歌うシーンもあるようだ。
2021年の大晦日に4人組ロック・バンド「THE BACK HORN」のベーシスト・岡峰光舟との離婚を発表して以来、見ていてワクワクするキャラを演じることが多くなった入山。これまでとは違う艶のあるママ役でありますように。
(森山いま)