ジャニーズ事務所の創業者・ジャニー喜多川氏(2019年死去)による性被害問題。2023年にイギリス公共放送のBBCが、ドキュメンタリー番組「The Secret Scandal of J-Pop(邦題: J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル)」と題し、ジャニー氏による少年への性被害を告発し、ようやく日本のマスメディアも重い腰を上げ、この問題に対峙してきた。
そして10月20日、NHKがこの問題を総括するかのように「ジャニー喜多川“アイドル帝国”の実像」を放送した。
その内容は、ジャニー氏が長年に渡り、少年たちへの性加害を続けてきたにもかかわらず、なぜ誰も彼を止められなかったのか? 姉のメリー氏が弟の性癖を“隠蔽”してきた実態などを暴いている。
その中で、元所属アイドルだった「フォーリーブス」の江木俊夫もインタビューに答えた。江木は、時折複雑な表情をしながらも、一人前のエンターテイナーに育ててくれたジャニー氏に対し、恩義を感じ、今も尊敬していると語った。
しかし、ジャニー氏の性癖については、1962年の事務所発足当時から芸能界では囁かれていたことだった。88年には元フォーリーブスの北公次氏(2012年死去)が、自身が受けた性被害などについて「光GENJIへ」と題した著書で告発している。
「江木のインタビューでは、かつての仲間で以前からジャニー氏を告発していた北氏についてNHKの記者から一言も質問がありませんでした。もちろん、江木も北氏には一言も触れませんでした。その部分については、非常に残念なインタビューでした」(芸能記者)
実際には質問していて、そのやりとりのすべてがカットされていた可能性もゼロとは言えないが、視聴者からも「せっかく江木さんにインタビューしておきながら、全く北公次さんについて触れていない時点でジャーナリズムの体をなしていません」「性被害が公にされて1年ほどが経過して、改めて出した番組のわりに内容が薄くてガッカリした」「ジャニー喜多川氏のプロデュースの手腕の凄さと性加害を擁護するようにもとれるような腑に落ちない内容で気分が悪かった」といった声がネット上によせられ、不快感、NHKによる取材の限界を嘆く人は少なくなかったようだ。
NHKはこれらの意見をどう受け止めているのだろうか?