昨年12月、週刊文春に女性への性的行為強要を報じられ、その発行元などに損害賠償を求めた訴訟を起こしていたお笑いコンビ・ダウンタウンの松本人志。裁判の完全決着には少なくとも3年ほどを要すると目されていたが、11月8日には松本側が訴えを取り下げたことを発表し、芸能活動再開を検討していることがわかった。
松本は同日、所属する吉本興業の公式サイトに掲載された「この訴訟終結に関する松本人志氏のコメント」の中で、「これまで、松本人志は裁判を進めるなかで、関係者と協議等を続けてまいりましたが、松本が訴えている内容等に関し、強制性の有無を直接に示す物的証拠はないこと等を含めて確認いたしました。そのうえで、裁判を進めることで、これ以上、多くの方々にご負担・ご迷惑をお掛けすることは避けたいと考え、訴えを取り下げることといたしました」と、取り下げに至った経緯を説明した。
続けて「松本において、かつて女性らが参加する会合に出席しておりました。参加された女性の中で不快な思いをされたり、心を痛められた方々がいらっしゃったのであれば、率直にお詫び申し上げます。尚、相手方との間において、金銭の授受は一切ありませんし、それ以外の方々との間においても同様です。この間の一連の出来事により、長年支えていただいたファンの皆様、関係者の皆様、多くの後輩芸人の皆さんに多大なご迷惑、ご心配をおかけしたことをお詫びいたします。どうか今後とも応援して下さいますよう、よろしくお願いいたします」と、ファンや関係者への謝罪も綴っている。
多くのレギュラー番組を抱え多忙を極めていた松本が約1年にわたって活動を休止したのは、彼のキャリアでは初めてのこと。その裏では相方・浜田雅功にかかる負担は想像以上に大きく、特に松本の不在が大きく影響した「ダウンタウンDX」(日本テレビ系)では、視聴者から「松ちゃんがいる時とはまるで別物で見る意味がなくなった」「正直、つまらない」「やっぱり浜ちゃんだけではキツい」などと不評が集まっていた。
今回の裁判終結を知らせるコメントでは、「後輩芸人」や「関係者」「ファン」に対する言及はあれど、活動休止に伴い、最も心労がかかっていたであろう相方に対する言葉は見られなかった。
「思えば、松本は2020年6月14日に出演した『ワイドナショー』(フジテレビ系)で、5日前に妻で女優の佐々木希を裏切る多目的トイレ不倫を報じられたアンジャッシュ・渡部建の謝罪コメントについて苦言を呈していました。松本が異を唱えていたのは、そのコメント文の中に相方・児嶋一哉への謝罪がなかったことです。児嶋は渡部が突然の活動自粛を発表した直後の12日、その代役としてラジオに生出演し、号泣しながら騒動を謝罪。その後も各現場で相方の不祥事を詫びてまわったわけですが、松本は謝罪コメントの中でそんな児嶋への言及をしなかった渡部について『相方に謝ったってほしい。この人はピン芸人じゃないんです。このまま記者会見もせずにコメントもしないわけで、この後、事後処理をするのは全部相方なんです』『コンビって、学生時代から知り合って、奥さんよりも長い人生、一緒にやってきたわけですから、僕は誰よりも先に相方に言葉、もう少しあるんじゃないのかなって思います』などと指摘していました」(テレビ誌ライター)
今、松本はその言葉を思い出す必要があるのではなかろうか。少なくとも、今回のコメントに後輩芸人への謝罪を含ませるのであれば、それ以上に長い月日を過ごした相方への想いも綴るのが、松本のポリシーだったのではないだろうか。
(木村慎吾)