公開中の映画「海の沈黙」で主演を務めている本木雅弘。11月22日公開だったため、その直前にあたる11月15日放送の「あさイチ プレミアムトーク」(NHK)、17日放送の「日曜日の初耳学」(TBS系)、21日放送の「徹子の部屋」(テレビ朝日系)と、出演したくても出演できない芸能人が少なくない、格式高い「トーク番組」に続々と出演していた。
どの番組でも「トーク番組は苦手」「友だちが少ない」と言い、少ない友だちの1人であり、前出の映画「海の沈黙」で本木の相手役を務めている小泉今日子が、3つのうち2つの番組にVTR出演して「自己評価の低い人」と、本木のことを説明した。
2020年3月28日放送の「プロフェッショナル 仕事の流儀」(NHK)で初めて「密着取材」を受けた本木は、密着取材中に自身の横顔を撮影する場合は「極力左側から撮ってほしい」と撮影スタッフに依頼する様子や、当時放送中だった大河ドラマ「麒麟がくる」で演じていた斎藤道三の、アイラインの太さにミリ単位のこだわりを持ち、そのためにメイクは他の出演者より30分長くかかることなどが明かされた。
そんな予備知識があったから、小泉が言う「自己評価の低い人」という言葉の意味を理解することができた。この番組で本木は自身のことを「自意識過剰な乙女おじさん」だと表現していたが、ここはあえて雑に「本木雅弘は面倒くさい人」というレッテルを貼らせてもらいたい。
しかし、15日放送の「あさイチ プレミアムトーク」の冒頭で本木からこぼれ出た言葉は素晴らしかった。番組開始直後に三笠宮妃百合子さま(享年101歳)の訃報がニュースセンターから伝えられたため、「あさイチ プレミアムトーク」は約4分遅れで通常放送となった。ゲストとして紹介された本木は「そういうことのしめやかな雨模様だったんでしょうかね」と開口一番そう言ってから「今日もよろしくお願いします」と頭を下げたのだ。この日の朝は、日本列島の北から南までの広い範囲で雨が降っていたのだが、それをすかさず三笠宮妃の訃報と絡めて「しめやかな雨模様」と表現した本木に、活きた教養とはこういうことなんだろうなと痛切に感じた。
10月17日に亡くなった西田敏行さんに対し「虹の橋を渡った」と不適切な表現をした木村拓哉は、事務所の先輩である本木を見習って、教養を身につけるようにお勧めしたい。
(森山いま)