11月30日深夜放送の「それぞれの孤独のグルメ」(テレビ東京系)第9話では、八戸から郡山まで長距離をトラックで運転してきて、千葉県香取市までたどり着いたドライバーの前島瑞希をイキイキと演じていた黒木華。大阪出身なのに「だっぺよ~」といった東北訛りが良く似合うのは素朴な顔立ちのせいだろうか。「一番星ブルース」を鼻歌で歌いながら運転する姿は、本当にこういう長距離トラックのドライバーって存在しそうだよなぁと、黒木の演技の説得力を堪能した。
が、翌12月1日放送のNHK大河ドラマ「光る君へ」の次週第47話の予告では、まひろ(吉高由里子)に向かって「私が気付いていないとでも思っていた?」とはんなりとした雅な雰囲気を漂わせながらも、矢を射るような鋭さを言葉にまとわせてまひろを脅かす倫子を演じる黒木を見ながら、ウッヒャー!とその恐ろしさに飛び上がった。
これまでも背筋が凍るようなキラーワードを微笑みながらぶちかましてきた倫子らしく、予告だけで多くの視聴者を震え上がらせたことだろう。
千葉・与倉ドライブインで「豚肉とキムチの卵炒め定食950円」をムシャムシャ食べる女性ドライバー=瑞希から、感情を表に出すことのない宇多天皇のひ孫=倫子様まで、難なく演じる黒木。「みをつくし料理帖」(NHK)、「凪のお暇」(TBS系)、「僕の姉ちゃん」(テレ東系)など、黒木主演のドラマはどれも大好きだが、映画では横浜流星、ドラマでは亀梨和也が演じた染井為人原作「正体」の主人公・鏑木慶一のようなキャラクターを、黒木にもそろそろ演じてほしい。
(森山いま)