手軽にたるみ改善やリフトアップが期待できると話題の「ハイフ(HIFU)」施術。高密度焦点式超音波療法(High Intensity Focused Ultrasound)の頭文字をとってそう呼ばれ、業界にとって書き入れ時となる、年末に向けてのキャンペーンなど、プロモーションが急増中の美容施術だ。藤田ニコルやMEGUMI、Kis-My-Ft2・千賀健永などタレントたちが行なっていることでも話題になり、美容の定番となった。
だが、その人気の裏でトラブルが急増している。
「今年8月には、東京都内の20代女性がハイフ施術をエステサロンで受けた結果、やけどを負ったとして、サロンの運営会社に治療費など415万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴。ハイフ施術を巡る訴訟としては全国初のケースでしたが、他にも、美顔や痩身効果をうたうエステサロンでの施術で健康被害の報告が多発しているといい、やけどの痕が残るなどして、つらい思いをする女性が増えているんです」(社会部記者)
理由は、専門家である医療機関だけでなくエステでもハイフを提供しているケースが増えているから。エステでの施術は医療用ハイフとは異なり、出力が弱い機器を使用していることが多い。効果が限定的である場合も少なくないのだが、それ以前に、使用機器の性能や施術者のスキルには大きな差があることが問題だ。
「R.O.clinic(アールオークリニック)」(東京・渋谷区)の呂秀彦院長によれば、「ハイフの施術では顔全体で450~600ショット、顎下を含めるとさらに+100~200ショットが理想的」とのこと。同院での施術料金は5万5000円から7万7000円となっているが、これはクリニックによって大きく異なる。
「ハイフの効果は、年齢や肌のたるみ具合、ボリュームの状態によって異なります。適切な診断や説明がないまま、安価な施術に飛びついてしまうと、期待した効果が得られないばかりか、トラブルの原因になる可能性が高いです」(呂院長)
また、安価を売りにする釣り広告も多く、安易に調べないまま経験値の低いクリニックに行ってしまうと、適切なカウンセリングが行われないまま施術に入るケースも見受けられる。これが思わぬトラブルを引き起こす原因になっている。
「口コミや公式ホームページで施術内容や医師の実績をしっかり確認することが重要です」(呂院長)
ハイフ施術を受ける前に必要なのは、価格だけで判断せず、クリニックの信頼性や施術者の技術を見極める目だ。美しさを手に入れるためには、リスクを知り、慎重に選択することが求められるのだ。