初めて「うらじぬの」を知ったのは2019年1月18日放送の濱田岳主演ドラマ「フルーツ宅急便」(テレビ東京系)だった。美容整形の資金を稼ぐためにスイカという源氏名で働き始める「嬢」の役だった。
客に暴言を吐かれボロ泣きするスイカ(うらじ)だったが、同僚のモモ(成海璃子)にそのことを責められ気持ちが大爆発。涙でメイクをぐちゃぐちゃにしながら嗚咽する姿は圧巻だった。その場の空気を彼女が支配しているような、圧倒的なパワーに魅せられた。
うらじはその後、どんどん頭角を現すようになった。2024年上半期放送のNHK朝ドラ「虎に翼」に出演し、第7話では明律大学で講義を聞きながら眠気と戦っている寅子(伊藤沙莉)の後方、よね(土居史央里)の真後ろで白目を剥いて舟を漕ぐ「笠松まつ」として注目を浴びたことは記憶に新しいだろう。
うらじの「X」には、「本名に布という漢字が入っているので、それを名前にして、裏地が布、ということでうらじぬのにしました~~!笑」と芸名の由来を明かすポストのほか、「布 サテン」「ぬの ぬの子」が芸名候補だったこともポストされている。一度見たら忘れられない容姿と芸名、その場の空気を支配できるパワー、見る者の心をグッとつかむ演技力は、1月25日スタートの赤楚衛二主演ドラマ「相続探偵」(日本テレビ系)の初回でも発揮されていた。
姉役の佐藤仁美、妹役の松井愛莉に挟まれた大物ミステリー作家の出戻り次女として、いつもよりはおとなしく、それでもクセ強めのもの言いに「うらじぬの」らしさを大いに感じた。“平安時代に一世を風靡しそうなビジュアル”と自身のことを表現するうらじ。唯一無二の存在感を大切にまい進してほしい。
(津島修子)