「踊る大走査線」シリーズのスピンオフ、柳葉敏郎主演で昨年に公開された映画「室井慎次」の前篇「敗れざる者」、後篇「生き続ける者」は合わせて興行収入35億円超の大ヒットとなった。柳葉演じる室井慎次が警察退官後、地元・秋田に戻って犯罪被害者と加害者の子供を里子に受け入れて生活する日々を描いたドラマ。秋田の四季折々の自然を背景に、「踊る」シリーズらしからぬ感動シーンが豊富な良作となっている。
メガホンをとった本広克行監督が、ホイチョイプロダクション代表で自らも「私をスキーに連れてって」「波の数だけ抱きしめて」などの映画監督でもある馬場康夫氏のYouTubeチャンネル「ホイチョイ的映画生活」に出演、その舞台裏を明かした(2月7日付)。
「あの撮影は後ろから逆撮りしているいるんですけど、柳葉さんのラスト(撮影)が、前篇の、男の子に『大きくなったよ』と言うシーンなんですよ。あそこが柳葉さんの終わりのシーンなんですよ、『踊る大捜査線』におけるすべての。で、室井さんって必ず面と向かってしゃべるんですよ。室井で背を向けてしゃべるシーンは一度も撮ったことがないんですけど、あのシーンだけ柳葉さんが後ろ姿でしゃべるんですよ。齋藤潤くんという彼に対して」
柳葉には自由に演技するよう指示を出していた本広監督は、「なぜ背中で演技するんだろう」と疑問に思ったという。で、回り込んでみると「柳葉さんがボロボロ泣いてるんですよ。それを見ていてグッときちゃって、この子に室井さんの魂が託されていく話になっていくんだな。なるほど、ここからまた何かが始まるんだな」と、監督みずからが次回作に思いを馳せるようなシーンになったようだ。
本作で室井が里親として引き取った高校3年生「タカ」こと森貴仁を演じた齋藤潤は、綾野剛主演映画「カラオケ行こ!」で第48回日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞した、将来が嘱望される現在17歳のイケメン俳優。タカは劇中で警察官を志すことが描かれており、次の「踊る」シリーズで織田裕二演じる青島刑事とのカラミも期待されるのだ。
(所ひで/YouTubeライター)