Q:1歳4カ月の娘のママです。娘が手にしてはいけない物を持った時は、代わりになるものを渡して「(手にしてはいけない物を)ちょうだい」と返してもらうなど、なるべく「ダメ」を言わないような育児を心掛けています。ですが姑は「ダメ」と言いながら無理やり取りあげるので、娘はびっくりして大泣きします。姑は「躾(しつけ)は最初が肝心なんだから、泣いてもダメなものはダメ」という考え方なのです。姑と私で違うことを言っていると娘が混乱しないか心配です。
A:まず、子供は親の行動と言葉を理解しています。そして、危険な物に手を出した場合は、やさしく言って取り上げるのではなく、はっきりと「危ないからこれは触っちゃダメ」と教えなければなりません。
では、“躾”とはなんでしょうか?
躾は“ダメなこと”、“してはいけないこと”だけを教えることではありません。躾とは“褒められること”と“褒められないこと”を教えることです。そして、褒められないことをしたときは「ダメ」だけではなく、理由をちゃんと説明して叱る。その後で、子どもが聞き分けてくれたら褒める。これが躾の基本です。
1歳を過ぎると、人としての個性が確立されると言われています。この時期からやってはいけないこと、危険なことをきちんと教え、尊重すべきところは褒めて認めてあげることが大切です。
質問の内容からすると、基本的な部分ではお母さんの娘に対する接し方は、間違っていないと思います。
ただ、お姑さんに直接意見を言うと、角が立ってしまうかもしれません。もしもお姑さんと考え方の違いや疑問が生じたら、定期健診のときにお姑さんにも同行してもらい、専門家である第三者の意見を聞くのが望ましいと思います。専門家の意見ならば、育児の先輩であるお姑さんも素直に受け入れられるのではないでしょうか。
また、子供に対して、大人の言うことがそれぞれ違っても、問題はありません。1人の大人がコロコロ意見を変えるのはよくありませんが、別の人が違う意見を言うのは社会的に当然のことです。子供は“人によって意見や思っていることは違うんだ”ということをちゃんと理解することができます。
複数の大人のいろいろな意見を見聞きすることは、むしろ子どもにとってよい影響をもたらします。いろいろな意見がある中で、なにが自分にとってマッチするかを探り出し、考える力がつくからです。
(監修・ストレスケア日比谷クリニック 酒井和夫院長/取材・文 李京榮)