Q:2歳半の息子のママです。息子に対するイライラが治まりません。特に、生理前から生理中にかけてはイライラマックスで、自分で自分が恐ろしくなるくらい、子供を怒ってしまいます。先日は、料理をしている最中に私の隣に来るので「危ないからあっちで遊ぼう」と言っても聞かず、私の手をつかもうとしたので、振り払った拍子に炒め物をしていたお玉が息子の腕に触れてしまいました。泣き叫ぶ子どもにハッとなって、すぐに手当てをしましたが、火ぶくれになった肌を見て涙が止まりませんでした。このままでは、虐待ママになってしまうのではないかと自分が怖いです。
A:このお母さんの場合、イライラの原因のひとつに、「月経前症候群=PMS」が関係している可能性を考えたほうがいいようです。月経前症候群とは、生理中やその前後に頭痛、腹痛、気分の停滞、イライラなどの不定愁訴が起きる症状のことです。いつもの生理だからと放っておくのではなく、産婦人科を受診してみてください。理由のわからないイライラから解き放たれるだけでも、心が安定するものです。
ではなぜ、子供は叱っても、引き離してもお母さんのそばを離れようとしないのかわかりますか?子供は自分の視界の中に自分を守ってくれる人がいれば、離れていても安心して遊ぶものです。お母さんにくっついて離れないということは、子どもの不安が高まっており、精神的に不安定になっていることを示します。
この息子さんは、母親がどこかに行ってしまうのではないか?という不安でいっぱいのようです。叩かれても蹴られても、子供は母親の愛情を疑いません。むしろ、恐ろしいほど怒る母親を見て「これが愛情表現なのだ」という間違った認識を持ってしまいます。
そうならないためにも、子供のそばから離れるときは、「これから危ない火を使うから、〇〇ちゃんは向こうで遊んでいてね」など、息子から離れる理由を話してください。ちょっとした一声をかけるだけで、子供は安心を得ることができます。
私のクリニックにも「自分は子供に虐待しているのではないか?」との不安を抱えている方がいます。このように、自身を省みて考えることができるうちは、本当の虐待をしない方向に軌道修正できると思っています。
もし、自分でもコントロールできない感情の高ぶりを感じたら、いったん作業の手を止めて、屋外に出てみることをおすすめします。外で大きく息を吸って、深呼吸するだけで、意外なほどリフレッシュできるものです。
それでも自制できないようであれば、自治体などには無料の母親カウンセリング等もあるので、探してみましょう。一度きちんと、自身の不安や今までの行為を振り返り、自分を見つめ直すことも大切です。プロのカウンセラーや医師に相談することも検討してみてください。
(監修・ストレスケア日比谷クリニック 酒井和夫院長/取材・文 李京榮)