吉本ばなな「フェイク本」問題で露見した「電子書籍販売サービス」の“根本的な問題”とは

「キッチン」「TUGUMI」などで知られる作家・吉本ばなな氏の「フェイク本」被害が波紋を広げている。

 2月25日、Xを更新した吉本氏は、自らの著書として大手電子書籍販売サイトで刊行されている「世界には時間がない」と題された電子書籍のリンクを添付。

「私はこんな本書いてないのでもちろん法的に訴えますが、読者のみなさん間違えて買わないでください。とんでもないことです」として、第三者による“なりすまし出版”の被害を受けていることを明かした。

 翌26日には販売ページから削除されたフェイク本。今回の吉本氏の対応について、出版関係者は「こうした手口があることを世間に啓発できた意義は非常に大きい」と語る。さらに続けて、

「吉本氏だけでなく、村上春樹氏や京極夏彦氏、東野圭吾氏ら多くの人気作家が同様の被害に遭っています。いずれのフェイク本も生成AIで書かれたもので、ビッグネームに便乗して電子書籍を販売する詐欺的な手法ですが、書き手としては粗雑な文章を自著と勘違いされるのは迷惑この上なく、知的財産権の侵害にあたる。今後、プラットフォーム側の徹底したなりすまし対策が求められます」

 もっとも、話は簡単ではないようだ。この出版関係者が続ける。

「仮にフェイク本を刊行した人物が『同姓同名だ』と主張した場合、対応が途端に難しくなる。『吉本ばなな』を名乗るのは、明らかに便乗の意図を感じますが、直木賞作家の佐藤愛子氏や昭和の文豪・石川淳などオーソドックスな名前だと、実際に同姓同名の可能性も捨てきれません」

 なりすまし横行の背景には、電子書籍ならではの問題があった。

「各電子書籍サービスには『試し読み機能』もありますが、多くの場合、読めるのは冒頭の一部のみ。実際に本を手にとって、しっかりと内容を確認できない仕組み上、電子書籍でのなりすましが容易にできてしまう根本的な問題があります」(前出・出版関係者)

 買う側のリテラシーも求められている。

(塚原真弓)

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