私は小芝風花が好きだ。どんなキャラでも自分のモノにしてしまえるチカラは、カメレオン俳優という言葉で表現される人たちが得意とする「憑依」とは違うチカラだと感じている。
小芝が演じるキャラは、どんなキャラでも奥の奥に「ちっちゃな小芝風花」が見え隠れしており、そこが唯一無二の魅力だと思っている。2月11日放送の「まだ間に合う!大河ドラマ『べらぼう』」(NHK)に出演していたファーストサマーウイカは、「今、憧れの女優です。『将来どんな女優さんになりたいですか?』って言われたら、『小芝さんみたいな女優になりたいです』って」と“風花愛”を語っていたが、気付けば小芝を嫌う人にこれまで1人も出会ったことがない。
2月28日放送の「あさイチ」(NHK)に生出演していた時には、開始8分ほどのタイミングで左耳のイヤリングが外れて落ちてしまったのだが、小芝は小さな声で「ごめんなさい」と謝りながら落ちているイヤリングを拾うと、右耳に残っていたイヤリングもサッと外し、自分が座っていた椅子の隅に置くという「神ワザ」を見せてくれた。動揺する気配はまったく出さず、当たり前のように「両耳のイヤリングを外す」という選択を即座にした小芝を見ながら、これだから小芝は誰からも愛されるんだろうなと納得してしまった。
レギュラー出演している「ぐるぐるナインティナイン」(日本テレビ系)の人気コーナー「グルメチキンレース・ゴチになります!」もすでに出演歴3年目となっているが、未だ小芝の嫌な部分を感じたことがない。小芝は途切れることなく仕事をし続けている。それは誰もが認めることだろう。
小芝がもし「常にいい子、優等生を演じている」のだとしたら、世間はすっかり騙されている。小芝の演技力は大したものだ。が、「根っからいい子な優等生」だと伝わってくるから、老若男女を問わず「万人受けする女優」として愛されているのではないだろうか。嫌われる要素が見つからない女優だなんて、昭和の頃なら考えられなかったが。
(森山いま)