3月28日に最終回を迎えた「クジャクのダンス、誰が見た?」(TBS系)。“たとえ誰も見ていなかったとしても、犯した罪から逃げることはできない”という意味を持つ、インド哲学の一説がタイトルになっているドラマだったが、まさかのリリー・フランキー演じる元捜査一課の刑事で主人公・山下心麦(広瀬すず)の父・春生も、22年前におきた「東賀川事件」という冤罪事件の片棒を結果的に担いでいたことがわかった。
「東賀川事件」の発生直後、1人で事件現場に向かった春生は、林川邸の1階リビングで家族6人の凄惨な遺体を発見。そこに寝かされていた歌こと、赤ちゃんだった心麦を「こんな風景を見ていたらいけない」と2階に運んだのだが、なぜかそのことをずっと黙っていたのだ。冤罪で捕まっていた遠藤力郎(酒向芳)は、赤ちゃんの泣き声が1階から聞こえてきたと警察に訴えてきたが、「赤ちゃんは2階にいた。いい加減なことを言うな」と取調官から叱責されるシーンが描かれていたから、春生(リリー)が「赤ちゃんは1階にいた。オレが2階に移動させた」と22年前に言っていたら、力郎が誤って捕まることはなかったかもしれない。
さらには、春生が京子(西田尚美)に殺害されることもなかったかもしれない。刑事が1人で事件の現場に行った場合、その現場を保存しなければいけないのに歌を移動させたことが、どれだけ警察内で問題になるのかわからないが、なぜずっと黙っていたのか。それがまったくわからなかった。ここはドラマの根幹であり、原作マンガにはない設定だそうだから、ドラマとしてしっかり描いてもらわないとブーイングされても仕方ないだろう。
ネット上にあがっている「最終回が一番つまらなかった」「東賀川事件そのものや、赤ん坊を移動させたことを黙っていた春生にリアリティーがまったく感じられなかった」「春生が赤ちゃんを移動させたことで遠藤力郎・友哉親子の人生がズタボロになりましたってこと?よくわからん」「TVerで3回くり返し視聴してるけど、伏線回収も疑問解決も残りまくりの最終回だよ、ひどい」といった厳しい声に共感しつつ、なぜここまで尻すぼみな作品になってしまったのか考えたい。
(森山いま)