3月28日に最終回を迎えた「クジャクのダンス、誰が見た?」(TBS系)に消化不良の声が続出している。
第5話でラーメン屋台の店主・染田のおじさん(酒井敏也)が殺害されたあたりまではサスペンスとしてワクワクしていた。松風弁護士を演じる松山ケンイチが命名した「おしゃべりハッスルじじい」こと鳴川弁護士(間宮啓行)が第6話で途中参加した時には、「22年前に起きた東賀川事件に深く関わっている人なんだろうな」と考察欲が湧いた。
第7話で阿波山京一郎(井上肇)と高畑まのか(大島蓉子)の話から心麦(広瀬すず)が林川歌であることが判明。“クジャクダンス”を見るために、心麦と松風弁護士がジャングルに近づいたと思っていたら、第8話で突然の失速。鳴川弁護士が阿南弁護士(瀧内公美)の実父であることはわかったが、肝心の「東賀川事件」の真相をわざと先延ばしているような展開になり、第9話では心麦=林川歌の実母が赤沢京子(西田尚美)と判明した。
さらに京子は夫の赤沢刑事(藤本隆宏)を刺したかのように見えていたが、最終回で刺したわけではなかったことが判明する。
幼い頃に弟が餓死した経験を持つ京子は、お金の必要性を強く感じる大人になり、守(野村康太)を出産してから働こうとした。が、それを理解してもらえなかった夫の赤沢刑事と別居。林川安成(野間口徹)から出資してもらい、廣島育美(池谷のぶえ)と一緒にウッドリバーウォーター株式会社を設立するも、安成と不倫関係になり、安成から「離婚する」と言われた京子は歌を出産した。が、いったん歌を安成と離婚予定の妻との子どもにしてから、後妻となる京子に育ててもらう体裁をとりたいと安成に説得され、京子は歌を抱き、初めて林川邸に訪れる。と、そこには義理の両親と子どもを殺害した安成の妻が。それを見て逆上した安成が妻を殺害。林川家のメンツを守るために安成は自殺を選び、あたかも一家全員が惨殺されたような偽装を京子に頼んだという「東賀川事件」の真相が明かされた。
1階に寝かされていた歌を2階に運んだのは「こんな凄惨な風景を見せてはいけない」と思った捜査一課の刑事だった春生(リリー・フランキー)だった。が、なぜそのことをずっと黙っていたのか、黙っていることが遠藤力郎(酒向芳)を誤って死刑囚にしてしまった原因の1つになり、ひいては京子から殺害されることになった春生の気持ちがいっさい不明のままドラマは終わった。
ほかにも、京子は歌を殺害現場に平気で置いていけたのはなぜか、林川が京子らの会社に出資したのはなぜか。さらに、京子はどのタイミングで赤沢刑事の元に「しれっと」戻ったのか、赤沢刑事が心麦に渡した猫柄のお守りはただのおみやげだったのか等々、大量の疑問が解決されずに終わったことに、ネット上ではブーイングが起きている。
演技達者な役者がそろっていた「クジャク」だったが、そういえば松風弁護士役の松ケンと遠藤友哉役の成田凌は、2人とも戸田恵梨香の元カレだったなぁと、東賀川事件の真相が明かされる中、遠い目をしてしまった。連ドラ最終回なのに。怒りって頂点に達すると無になるものなんですね。再認識しました。
(森山いま)