2004年放送の「仮面ライダー剣」(テレビ朝日系)で、竹財輝之助が白井虎太郎というサイエンスライターを目指す、見るからに気弱そうなフリーライターを演じている姿を見るたびに、「この人は将来ヒモ男を演じたら似合いそうだ」と思っていた。
あれから21年。竹財は伊集院光から「ダメ夫をやらせたら右に出る者はいないですね」と言われる役者へと成長した。3月29日放送の「伊集院光&佐久間宣行の勝手にテレ東批評」(テレビ東京系)にゲスト出演した竹財は、「今年も5本(ドラマを)やっているんですけど3本クズです」と笑顔で現状説明。番組収録で使っているテレ東のナレーションブースにいた人々の笑いを誘った。
4月7日スタートのドラマ「夫よ、死んでくれないか」(テレビ東京系)で竹財は、安達祐実演じる大手デベロッパーに勤務する麻矢の夫で、家ではゲームばかりしているIT企業に勤務する甲本光博を演じる。このドラマには安達のほかに相武紗季演じるフリーライターの妻・加賀美璃子と高橋光臣演じる外資系コンサルに勤務する夫・弘毅、磯山さやか演じる専業主婦・榊友里香と塚本高史演じる電機メーカー勤務のモラハラ夫・哲也がメインキャラクターとして登場する。竹財は「ボクは3人の夫の中でもおとなしいほうのクズかな」と言い、「ほかの2人の夫がめちゃめちゃクズで。面白いぐらい2人ともクズで。ボク以外の2人のクズに注目してください」と謙虚な番組PRを展開した。
佐久間から、クズを多く演じるようになったのは「じょじょに」なのか、マネージャーとの話し合いによる「戦略」なのかと聞かれると、「ボクは流れに身を任せているので、いつからクズだったのかわかんないんですけど」と返答。またもブース内の笑いを誘っていたが、代わりに私が説明したい。竹財はもともと気弱で頼りない「ヤサ男」を演じることが多く、たまにチャラ男や誠実キャラも演じていたが、14年放送の単発ドラマ「前科ありの女たち」(フジテレビ系)で典型的なクズ男を好演。この作品では「夫よ、死んでくれないか」で共演する相武や木南晴夏らをだまして貢がせていた。
おそらくこの作品が竹財の「クズ歴」の始まりではないかと思う。綾瀬はるか主演の「奥様は、取り扱い注意」(日本テレビ系)、石原さとみ主演の「アンナチュラル」(TBS系)など、話題作で何度も「ゲストクズ」を演じ、昨年は松本まりか主演の「夫の家庭を壊すまで」(テレ朝系)で「クズオブクズ」を演じ切ったことで、「クズなら竹財に任せればOK」という共通認識が業界内に生まれたのではないだろうか。
ちなみに今年になってからの「クズ役」は、波瑠主演の「アイシー」(フジ系)しか見つからなかった。昨年はマネージャーから「もうクズ飽きません?クズ断りたいんですけど、断っていいですか?」と相談されたと明かした竹財。しかし竹財は「どっちでもいいけど、体が空いてたらやるよ」と答えたというから、これからもクズを演じる竹財を見ることはできそうだ。まずは「夫よ、死んでくれないか」と思われている甲本光博役が楽しみだ。
(森山いま)