元タレントの中居正広氏に端を発したフジテレビの人権・ハラスメント問題で、第三者委員会の調査報告書に書かれた「重要な類似事案」にとんねるず・石橋貴明の名前が挙がったため、4月16日に所属事務所を通じてコメントを発表した。「深酒をしてたためか、覚えていないのが正直なところです。私自身の至らなさゆえ、かなり羽目を外してしまったかも知れません」と大筋を認めて、快復後に被害に遭った女性に会って謝罪することを約束した。
4月10日に発売された「週刊文春」で石橋は、10年ほど前に中居問題に関わったフジの編成幹部らとの飲み会で出会ったフジの女性社員と2人きりになった個室の食事の場で、下半身を露出させたことを暴かれた。しかし、同誌発売前の4月3日に石橋は食道がんを患っていることを公表。療養のためにすでに芸能活動を休止しており、さらに、4月16日には咽頭がんも併発させており、手術を終えて集中治療室から一般病棟に戻ったことを報告していた。
闘病が、はからずも過去のハラスメント報道のインパクトを薄めてしまった感も否めないが、Xでは以外にも石橋を擁護する声が少なくない。〈10年前ならキャラ通り〉〈後出しジャンケンで叩くのはどうか〉〈あの時代に騒げよ〉〈昔のやんちゃを今の人権意識で裁く風潮に辟易〉といった反応が見られたのである。見方を変えれば、1980年代のフジ黄金期に同局の「とんねるずのみなさんのおかげです」や「夕やけニャンニャン」、「オールナイトフジ」などで見せていた豪放磊落なイメージ通りだったため、皮肉にも“石橋の値踏み”そのものが低いことが立証されたのかもしれない。
むしろ、石橋以上に被害をこうむったのは過去を蒸し返された芸能人だ。特に、「みなさんのおかげです」のドラマコント「近未来警察072」で、モデルから女優に転身後にバラエティで勝機を見いだすことに必死だったころの松嶋菜々子。
コントとはいえ、とんねるずからキックやパンチを浴び、頭を叩かれた松嶋。性的行為を連想させる体勢をとらされたり、変則的な性的プレイを想起させる言葉を言わされたが、映像を見る限り、当時の松嶋はバラエティを楽しんでいるようにも見えた。結果、この吹っ切れた根性が業界関係者の目に止まり、ブレイクするきっかけとなったのは何とも皮肉だ。
「松嶋さんにとっては黒歴史ながらも、恩がある番組であることに変わりはない。所属事務所は以降、関連取材を徹底して断り、映像の流出を避けていましたが、石橋問題でデジタルタトゥーの犠牲になった。動画はYouTubeやXでいまなおすごい勢いで拡散されていて、日々視聴回数も伸びています」(古参のテレビライター)
中居氏を起点としたフジテレビ問題の流れ弾が、石橋を経由して一流女優に直撃した。二の矢三の矢が放たれるのは、時間の問題か…。
(北村ともこ)