ドラマにおいて「黒幕はこの人では?」「いい人に見えてもこの人が実は真犯人」などと指摘されてしまう役者がいる。ふり幅の大きな確かな演技ができる小日向文世はその代表格で、最近では小池徹平や忍成修吾もその後を追っていると言ってもいいだろう。
放送中の志尊淳と岸井ゆきのがW主演する「恋は闇」(日本テレビ系)は、「ホルスの目殺人事件」と呼ばれる連続殺人事件の真犯人が誰なのか、スタート前から「相関図」を見ながら考察する人が現れたコテコテの「考察ドラマ」だ。
志尊演じる設楽浩輝は人たらしの週刊誌ライターで、新年が明けてから「ゾロ目の日」に起きている若い女性が被害者の連続殺人事件に、「ホルスの目殺人事件」と名前を付けて記事を書いたという設定だ。浩輝(志尊)は事件現場に来ることも早く、そのために捜査一課の刑事・大和田夏代(猫背椿)からは「スクープを取りたくて殺人事件を起こしているのではないか」と冗談まじりに言われていたりもする。浩輝がフードを被り悪い表情を浮かべるシーンが差し込まれたり、万琴(岸井)をなぜだかホテルに運んで寝かせたり、「浩輝が犯人であるかのような描写」が多々あったが、ネット上では「ここまで犯人のようにされている浩輝は真犯人じゃない」と指摘する声が非常に多い。その代わり第1話にチラッとしか登場しなかった、望月歩演じるフードデリバリー「ミールミート」の配達員・夏八木唯月を怪しむ声があがっているようだ。
唯月(望月)は大和田刑事とそのバディである小峰正聖刑事(白洲迅)に呼ばれて警察署にお弁当を運んできたのだが、その時に履いていたスニーカーが、第1話終盤で判明した「犯人が履いていたスニーカー」とよく似ているように見えるからだ。唯月のスニーカーがはっきりと見えるシーンはないのだが、警察署の階段を上って大和田刑事と小峰刑事の前に現れる直前に、それらしきスニーカーを履いている姿が映っているので、興味のある人は確認してみてほしい。
さらに望月の演技力は、2018年放送の石原さとみ主演「アンナチュラル」(TBS系)第7話で、いじめを苦に自殺しようとしていた高校生・白井一馬を演じて大絶賛されたことは記憶に新しいだろう。昨年公開された映画「ラストマイル」に望月が「白井一馬」として出演した時には、「白井くんが生きててくれてよかった」「前を向いて歩いている白井くんがそこにいたからうれしかった」など、ネット上には喜びの声があがったほどだ。つまり、望月の演技力は素晴らしいのだ。素晴らしい演技力の役者は「真犯人」を演じるのにふさわしい。
真犯人らしき人物は今後も続々と現れると思うが、まずは望月演じる「フードデリバリーの唯月」に疑惑の目を向けたい。
(森山いま)