今シーズンスタートしたドラマの中で、前評判が良かったのは松本若菜が主演を務める「Dr.アシュラ」(フジテレビ系)だ。同名コミックが原作のこのドラマは、病院の救急科を舞台に、スーパー救命医・杏野朱羅が大活躍するストーリー。女性の凄腕ドクターが活躍する作品であり、「ドクターX~外科医・大門未知子~」(テレビ朝日系)に代わる人気医療ドラマになるのではないかと、放送前から期待されていた。
結果として、初回放送の見逃し配信が200万再生を突破し、上々の滑り出しを見せたかのように思えたが、SNSでの評判がイマイチ。中でも、準主役として出演するAぇ! Groupの佐野晶哉が不評を買っている。佐野は、研修医の薬師寺保を演じているが、常に大げさに騒ぎ続けるキャラで、医療ドラマにはふさわしくないとの声がある。
「佐野が演じる研修医は、常にパニック状態で騒ぎ続ける役で、クールな主人公・朱羅を引き立てるためのキャラクターなのですが、あまりに騒がしくてSNSでは不満の声が多く寄せられています。昨年公開された映画『明日を綴る写真館』では繊細な演技が好評だっただけに、『Dr.アシュラ』ではハズレ役を引いてしまったとも言えるかも…。原作があるためキャラの変更もできないでしょうし、今後も批判が続きそうです」(民放関係者)
また、同じくSNSでは、医療関係者から「考えられないようなシーンが多く、リアリティがない」と批判されています。
「救急科の病棟がとにかく暗い。前クールに放送されたドラマ『まどか26歳、研修医やってます!』(TBS系)でも救急搬送の病棟が取り上げられましたが、明るくて非常に見やすかったです。普通、処置を行う際に薄暗い環境では治療がしづらくなると、SNSでツッコミが入っています。また、第1話では銃で撃たれた暴力団員のオペを行ったり、トンネル崩壊事故の現場に勝手に駆けつけて、消防の制止を無視して治療するなど、警察沙汰になるようなシーンばかり。漫画原作ならではの現実離れした部分が目立ちます。原作があるとしても、こういう時こそリアリティがあるように脚本を考えるべきでは、とも思ってしまいます」(前出・民放関係者)
さらに、手術シーンについても、予算削減のために手抜きが行われているのではないかという疑惑が浮上しています。第2話では、朱羅の上司であるドクターの息子を助けるシーンで「Letton-Wilson手術」という難しいオペが選ばれましたが、手元を映さず、いつの間にか少年が助かっているという演出だった。
「『Dr.アシュラ』は、全体的に手術シーンをしっかりと描いていない。コミカルな作品ならまだしも、『Dr.アシュラ』はシリアス寄りの医療ドラマなので、手術シーンはもっと丁寧に描かないとリアリティ面がものたりない。実際に難しい手術シーンを撮影する場合は、人体の内臓に見える造形物や、医者の監修が必要になり、予算もかかります。今回、局自体の在り方が問われる一連の問題で多くのスポンサーがCMを差し止めていることもあり、フジテレビは予算をかけられず、手術シーンをリアルに描けなかったのではないかとまで言われています」(前出・民放関係者)
昨年から好調だった主役の松本若菜だが、人気に急ブレーキがかからぬことを祈るばかりだ。
(渡邊伸明)