矢沢永吉&ミセス大森元貴 “同じ誕生日”の共鳴点発見!「生まれ変わるなら」「生まれ変わったら」の奇跡とは
9月14日。日本の音楽シーンに名を刻む2人の天才が、同じ日に生まれている。1人は今年29歳を迎えたMrs. GREEN APPLEのフロントマン、大森元貴。もう1人は、御年76歳、ロックのカリスマ・矢沢永吉だ。世代もジャンルも違うこの2人に、驚くほどの“共鳴点”が浮かび上がった。
まずは大森。2023年12月30日に開催された第65回日本レコード大賞で、自身が作詞した「ケセラセラ」が大賞を受賞。その歌詞には「生まれ変わるならまた私だね」という一節がある。実は、最初は「生まれ変われない また私だけ」と綴っていたという。「変われない自分」を歌うつもりだったが、それではあまりに後ろ向きだと気づき、“自分を愛そう”と肯定の歌に書き換えたという。過去の後ろ向きな自己を反転させたような逆説の力が、多くの人の心を打ち、時代を象徴する楽曲へと押し上げた。
一方の矢沢は、9月17日に放送された「めざましテレビ」(フジテレビ系)に出演し、同局の軽部真一アナのコーナー「The 軽部真一」に登場。9月24日にリリースされる通算35枚目のニューアルバムについて語った。軽部から「もし矢沢さんではない人生を送るとしたら?」と問われた矢沢は、笑みを浮かべながらもこう言い切った。
「何度も矢沢をやめたいと思ったけど、生まれ変わったらまた矢沢をやりたい」
■大森の「また私」と、矢沢の「また矢沢」
同じ誕生日を持つ2人が、まったく同じように、自分に後ろ向きになった時もあるけれど、結局はまた、自分をやりたいと反転する“逆説的な答え”にたどり着いていたのだ。
矢沢は、「オレはいいけどYAZAWAが何て言うかな?」の名言が語り継がれているように、みずからを俯瞰する独特の語り口で知られている。それは単なる自慢ではない。彼には「臆病だから考える。臆病だからこそ勝つための冒険ができる」という名言もある。弱さを武器に変える発想。臆病を肯定する哲学だ。
大森が“変われない私”を“愛すべき私”に書き換えたのと同じく、矢沢もまた、弱さを力へと裏返す術を知っている。世代も境遇も違う2人だが、奇しくも同じ日に生まれ、同じく「あきらめ」、あるいは「臆病さ」を肯定的なものに変えてきた。大森はまだ29歳。矢沢は75歳にして現役バリバリ。にもかかわらず、どちらも“結局は自分を選ぶ”という境地に立っているのだ。
9月14日という日付が、この2人を結びつけたのか。それとも、天才に共通する宿命なのか。ちなみに筆者は、生まれ変わったら大森にも矢沢にもなってみたい。
(小津うゆ)
