【べらぼう】岡山天音“春町”が死亡退場!「推しを死へと至らしめた」井上祐貴“定信”はもしや春町に「会いたかっただけ」かも
9月21日放送のNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第36話「鸚鵡(おうむ)のけりは鴨(かも)」で、岡山天音演じる恋川春町が“豆腐の角に頭をぶつけて”亡くなってしまった。ここは春町こと倉橋格が「命を懸けて戯(たわ)けた」のだから、「切腹して命を絶った」とは書きたくない。亡骸の頭部にちゃんと白い豆腐が付着していたのだから、そこは春町の気持ちをしっかりと受けとめたい。いや、受けとめたからしばらくは、豆腐を見るたび春町のことを思い出して泣いてしまいそうだ。すべてにおいて生真面目だった男の最期は、涙を流しながら笑ってしまった。
6月8日放送の第22話「小生、酒上不埒(さけのうえのふらち)にて」では、春町の「狂名」である「酒上不埒」が爆誕した、語り継ぎたい素晴らしい回だった。
ふんどし姿で「三番叟(さんばそう)」を踊り、「放屁芸」を披露した清々しいほど筋が通ったバカの春町が大好きだった。春町を死に至らしめる結果を招いた倹約家の松平定信(井上祐貴)も、蔦重(横浜流星)と田沼意次(渡辺謙)のように、こんな春町となら親睦を深められたかもしれない。
もしかしたら定信が「明日、倉橋格に会いに行く」と、倉橋=春町を家臣に抱える小島松平家の当主・松平信義(林家正蔵)に告げたのは、倉橋から謝罪を聞きたかったわけでなく、「推しと会いたかっただけ」のファン心理だったのではないかとも考えている。
この日の放送のラストシーンでは、“推し”である春町の「黄表紙」を隠してあった布団部屋の布団に顔を埋めて、大声をあげて泣いていた定信。「推しを死に至らしめた自分」を悔い、「大好きな人の新作を読めないのは自分のせい」と嘆いていたのだと思う。バカだよ、定信。ファンとして最低最悪だ。
改めて「森下佳子氏の脚本はべらぼうだぜ」と感心してしまった。
今夜は今年最後の冷ややっこでも食べながら、春町の放屁芸を思い出して泣き笑いしたい。
(森山いま)
