40代がやりがち!リアクションボタンだけの省エネコミュニケーションの落とし穴
ひと昔前には、文字を入力せずにスタンプだけで返信をするLINEが「脈アリなのか or ナシなのか?」と話題になったものです。しかし今ではさらに進化し、“リアクション”のボタンだけで済ませるやり取りも少なくありません。
けれど、リアクションボタンだけで関係をつなごうとする「省エネコミュニケーション」には意外にも深い落とし穴が潜んでいます。
■「言葉を使わなくても伝わる」という錯覚の怖さ
今の時代、SNSの「いいね」やリアクションによって、言葉を使わなくても“つながっている感覚”を演出するのはとても簡単です。けれど、その気軽なコミュニケーションの裏で、知らぬ間に相手との距離を広げてしまっている場合もあります。
年齢を重ねるにつれ仕事や家庭の忙しさから、やり取りを効率化したくなるのは自然なこと。「ありがとう」や「お疲れ様」さえスタンプやリアクションで表現できれば、それが楽に感じるのも無理はありません。
しかし、自分が送ったメッセージに対してリアクションだけの返答では「ちょっと失礼だな」「寂しいな」と感じる人も少なからず存在します。送信側は効率的なコミュニケーションのつもりでも、言葉を省くたびに相手には“温度のない反応”として伝わってしまうこともあります。
つまり、感謝や共感の気持ちを持っていても、ボタンひとつではその“温度”が届かず、むしろ「冷たい人」「そっけないのね」などとしばしば誤解を招いているのです。
■年齢を重ねたからこそ「伝える力」を磨きたい
40代・50代は人間関係の経験値が豊かになる世代です。だからこそ、“伝える言葉”にも深みが出てくるもの。にもかかわらず、ボタンひとつでの省エネなやり取りが当たり前になってしまえば、伝える力が発揮される場面がどんどん減ってしまいます。
リアクションは、あくまでも“つながり”を補完するツールです。そこから新たな信頼や絆が生まれることはほとんどありません。本当に大切な相手なら、ひと手間を惜しまないコミュニケーションが欠かせません。
たとえば「嬉しい」「助かったよ」「また行きましょう」などの些細なひと言を送るだけでも、印象は大きく変わります。便利な省エネ機能が増えた今でも「言葉を使わなくても伝わるだろう」は、幻想かもしれません。年齢を重ねたからこそ、自分の言葉で伝える価値を改めて思い返してみたいものです。
(元市議会議員・メンタル心理カウンセラー/並木まき)
