2月26日、冬季アジア札幌大会のフィギュアスケート男子シングルで、宇野昌磨選手がSP2位から逆転優勝を飾った。この演技内容が、近年の男子フィギュア界で語られる“4回転新時代”に対して、一石を投じる見事な演技であった。
「もちろんアジア大会でも、4回転は優勝の大きな鍵になると思われました。今大会には4回転ジャンパーとして注目される中国の金博洋選手が出場。SPでは宇野選手を上回る得点で1位となりました。宇野選手は最初の4回転トウループで失敗して連続ジャンプにできず、ジャンプでの金選手との得点差は5.66。しかし、SP全体の得点差はわずか0.43だったんです。フリーでは2人ともジャンプがいまひとつでしたが、宇野選手は演技構成点が高く、逆転で優勝できたのです。ジャンプに力を入れ、プログラム構成をジャンプ中心にすると流れやつなぎに影響が出やすくなるので、ジャンプも演技構成点も高得点を狙うのは大変なことなんです。羽生結弦選手のコーチであるオーサー氏も言っていますが、『4回転ジャンプがたくさん跳べるだけでは勝てない』のです」(スポーツライター)
先の四大陸選手権では、ネイサン・チェン選手がジャンプ以外の部分でも高得点を獲得し、優勝している。これからのスケートシーンは、4回転と演技構成の両方の進化が期待されているということのようだ。
(芝公子)