今期の各局ドラマが軒並み最終回を終え、各役者への評価も総括されつつある。そんな中で意外にも評判が高かったのが、元AKB48の前田敦子と大島優子だ。
「前田は木曜ドラマ『就活家族』(テレビ朝日系)に、三浦友和と黒木瞳の娘役で出演。仕事や将来への見通しが甘く、結婚に逃げ込もうとしている25歳を演じました。親や男に頼っていれば人生なんとかなると、世の中をナメている感じを好演。ネット上では『演技がイラッとする』という声も見られましたが、それは役柄にハマっており、うまく役を演じ切れていたからこそそう見えたのでしょう。さらに、そのあと目が覚めてひたむきに夢を追いかけるようになる過程も、清清しく体現していました」(テレビ誌ライター)
番組の視聴率は途中ひと桁台と低迷するも、ラスト2回で2桁に持ち直し、最終回では最高の11.1%で有終の美を飾ることができたのには、前田の貢献もあったと言えそうだ。
一方、大島は水曜ドラマ「東京タラレバ娘」(日本テレビ系)で、妻が出産のため里帰りしている男と不貞してしまうアラサー女性の小雪役を演じた。
「サバサバと割り切っているように見えて、相手に家族の影が見えると傷つき迷ってしまう心の機微を、大げさに表現することなく、実に繊細に演じていました。その姿が原作漫画の“小雪”ともみごとにシンクロしていて、原作ファンからは主役の吉高由里子よりも『役にハマってる!』という声もあったほど。最初こそ原作と違う身長の低さも指摘されていましたが、いつの間にか気にならなくなるほど、いい意味で物語に溶け込んでいました」(前出・テレビ誌ライター)
アイドル上がりは大根役者だろう、と先入観で見られがちな中で、卒業後の数年間、真剣に芝居と向き合ってきた前田と大島。まさに今、女優として脂がのってきた頃なのかもしれない。
(稲垣まゆう)