「フィギュアスケート世界選手権2017」が、羽生結弦選手の快挙で幕を閉じた。
最終グループの1番手で登場した羽生選手の演技を、食い入るように見つめていたのが宇野昌磨選手だ。
「自分の集中力がかき乱されるのを嫌い、演技前にほかの選手の演技を見ない選手も多いなか、宇野選手はしっかりとその快挙を見ていました。羽生選手を称賛した後に、彼のなかで“スイッチ”が入ったのではないでしょうか」(スポーツライター)
羽生選手の、SP5位からの巻き返し。鬼気迫るような演技で4回転ジャンプもコンビネーションもクリア。滑り終えた瞬間、誰もが彼を称えた。後に滑る選手なら動揺してもおかしくないシーンだが、ここで宇野選手の表情が変わったというのだ。
「試合後のインタビューで、この時のことを問われた宇野選手は、『これで枠(平昌五輪の3枠)は大丈夫。自分の演技に集中できると思った』と語ったんです。これには驚きました。たぶん日本のマスコミもファンも、羽生選手がSP5位だったからといって、男子の五輪3枠を疑うものはなかったと思います。仮に宇野選手が多少の失敗をしても何の問題もなかったでしょう。そんな状況でも羽生選手の万一を思い、自分が五輪3枠のために頑張らねばと意識していたというあたり、宇野選手が羽生選手に継ぐ次世代エースとして自覚している証です。その後の宇野選手の演技も圧巻で、金メダルの羽生選手とは、たった2.28点差という堂々の銀メダル。そんなプレッシャーの中でも実力を発揮できる宇野選手の成長を感じました」(前出・スポーツライター)
シニアデビュー2年目とは思えない風格を感じさせる今季の宇野選手。五輪シーズンでの、ますますの成長が楽しみだ。
(芝公子)