「保育園落ちた、日本死ね!」のつぶやきなど、一つの発言で社会を大きく動かすことがある。とくに政治家、スポーツ選手、芸能人などの有名人から発せられる言葉は注目の的。最近ではゴールデングローブ賞授賞式でのメリル・ストリープのトランプ大統領批判が大きなニュースになった。そして今、日本で最も社会に影響力のあるアーティストが宇多田ヒカルではないだろうか。
宇多田は2014年3月に放送されたInterFMでこんなことを話していた。
「番組が放送されたあと一定期間ストリーミングでネットで聴けるとか、そういうようなポジティブな変化が今後どんどん進んでいくといいなと思っています」
理想的なラジオ環境を提案したわけだが、そのアイデアはすぐにラジオ局に採り入れられた。すでにスマホアプリ「radiko.jp(ラジコ)」では、ラジオを聞き逃した人でも番組放送から1週間までは後から聴くことができるという「タイムフリー聴取機能」サービスを開始。宇多田の奇抜なアイデアが実現したわけだ。
さらに宇多田の発言はラジオ局にとどまらず、日本の育児環境をも動かす可能性を秘めている。2016年10月、ニュース番組「NEWS ZERO」(日本テレビ系)に出演した宇多田の言葉が物議を醸したことは記憶に新しい。東京で子育てする友達に聞いた話として、こんなふうに語っていた。
「外で赤ちゃんが泣いていたら、すごく嫌な顔される。将来、自分の年金を払う人になってくれるのに、なんでちょっと泣いてるくらいでいやな気持ちになるのかすごく不思議です」
この発言は全国のママたちから大いに支持され、「よくぞ言ってくれた」などと感謝のコメントが多数寄せられている。自らもロンドンで子育て中の宇多田。説得力のある発言は政治をも動かすかもしれない。