「涙の会見」で現役引退を表明したフィギュアスケート選手の浅田真央。人気、実力ともに日本を代表する選手としてスケート界の発展に貢献してきたが、その功績は競技人口の数にも表れている。
「05年に1769人だった競技人口が、その後10年で3555人になっています。浅田がGPファイナルで史上最年少で優勝したのが05年12月。フィギュアを始めた子どもたちの多くが『真央ちゃんみたいに滑りたい』と答えるところを見ると、浅田の存在が少なからず影響していると言えるでしょう」(スポーツライター)
競技人口が増え、選手層が厚くなり、活躍するジュニア選手も増える。いいことばかりのようだが、問題も増えてきている。
「層が厚くなるのはいいのですが、最近では高度な技術をビデオで研究し、マネしようとしてケガをするジュニア選手も少なくないと指摘しているトレーナーもいます。特にジャンプの着氷で受ける衝撃は体重の約4倍とも言われますから、正しい指導の下で練習しないと致命的な故障につながりかねません。レベルの低いコーチには、ケガを治すことが優先なのに練習を休んではダメだなどと言う人もいる。競技人口の増加に指導者の数、質が追いついていないのです。トップ選手の技が子どもたちのケガの原因になるような事態は由々しきことです」(スポーツライター)
独学でスケートを学び、幼い浅田の才能を開花させ、二人三脚でスケート力を高めた浅田の母は偉大だった。ただし、すべての親が名コーチになるわけではないのだ。
(芝公子)