ジャニーズJr.は試作的にいくつかのユニットを渡り歩き、その末にメジャーデビューするのが王道パターン。古くはSMAP、TOKIO、V6もデビュー前には人気ユニットに身を置いた。その中でも、誕生も消滅も意図的に控えめにされたスター同士の名曲が存在している。アイドル雑誌の編集者が話す。
「KinKi Kidsの堂本剛と嵐・二宮和也のコラボです。嵐は2001年から2002年にかけて、『ARASHI All Arena tour Join the STORM』というライブツアーを行なったのですが、そこで『Regress of Progress』という曲が披露されている。ファンの間で“幻の名曲”と言われているもので、ニノが作詞、剛が作曲をしています。なぜ幻なのかというと、CD化されていないから。先輩・後輩の垣根を越えた、ニノ唯一の合作です」
堂本が4歳年上。歌手デビューも嵐より2年早い。SMAPのバックダンサーを務めていた姿を、二宮少年はテレビで観ていた。しかし、入所からずいぶん経ってから、二宮が冗談半分で「今度一緒に曲でも作りましょうよ」と言うと、堂本は快諾したのだという。この話にはオマケがある。先の編集者が続ける。
「作詞を担ったニノは、“of”を“or”と思い込んでいたんです。詞のコンセプトは“進化か退化か”なので、“or”が正しいのですが、タイトルを登録するときに“of”と書いてしまった。スタッフも気づかなかったというオチもいいですね」
熱唱している姿が収録されたライブ映像は、すでに廃盤。幻といわれるワケは、ここにもあった。
(北村ともこ)