明治維新150周年にあたる2018年に向けて、来年1月からのNHK大河ドラマが、鈴木亮平演じる西郷隆盛を主人公とする「西郷どん」に決定しているほか、各自治体でもカウントダウン事業を行っているなど、「大政奉還~明治維新」という時代について学ぶ機運が高まっています。
さて、「日本で初めての新婚旅行」をしたのは「坂本龍馬と妻のお龍(おりょう)」というイメージがありますが、かなりロマン重視な説にすぎないのかも知れません。もちろん、2人が旅行にいったのは事実で、龍馬が結婚後の32歳の時に鹿児島県霧島市の塩浸温泉に行っていることはわかっているのですが、果たしてこれが「日本初の新婚旅行だったのか」というと疑問が残るわけです。
「江戸時代でも男と女が旅行に行くという風習があったことは判明しており、もちろんそれが夫婦で結婚を記念して、というケースはあったでしょう。なので、龍馬たちが日本で初めての新婚旅行をしたとは断言できないのです」(歴史研究家)
日本初の龍馬評伝として知られる「汗血千里駒」(坂崎紫瀾著)において「ホネー、ムーン」との記述があり、これが新婚旅行として知られることになったと言われていますが、一説では「寺田屋事件で負傷した指を治療する目的で、西郷隆盛が勧めた温泉に行くことになり、そこにお龍もついてきた」とも言われていて、結婚を祝うための旅行だったのかさえ定かではないそうです。司馬遼太郎の「竜馬がゆく」の影響で、イメージが美化されがちな坂本龍馬。土佐藩の重臣たちが、薩長に対抗するために龍馬の逸話を過大に触れ回ったという説もあるのです。
ともあれ、こうして諸説入り乱れるほど坂本龍馬は「日本人のロマンが詰まった偉人」だということは間違いないと言えるのかも知れません。