10月20日放送の「バイキング」(フジテレビ系)は、福井県の中学2年生が自死した問題を取り上げた。だが、まるで自死した生徒側に問題があったとも取れる放送内容に首をかしげる視聴者が多く、問題になっている。
「自殺の背景はよくわからないとしながら、亡くなった生徒に発達障害の可能性があったことを大きく取り上げました。しかし、この生徒に発達障害があったことを親御さんは否定しているといいます。仮に発達障害があったとしても自殺との因果関係はわからないのに、番組はその後、発達障害特集とばかりに専門家を招き、大きく時間を割きました。この生徒に発達障害があったように印象づける進行だったと思います」(エンタメライター)
さらに驚いたのが、出演していた教育評論家の発言だ。発達障害は全容が解明されているわけではないが、評論家は先天的な脳機能の障害で起こるとしながらも、「幼い頃に激しい叱責を受けることで脳が萎縮してくる。それが発達障害につながる」「アメリカの報告では、食品添加物の摂取で多動性が増えている。それが3割4割にも及ぶ」など、後天的な原因も大きいとし、つまり親の育て方に責任があるという決めつけ方をしたのである。
これについては、「発達障害の子を持つ身としては信じられない発言」「デマを全国ネットで垂れ流すのはやめて!」「また誤解されそう。涙が出る」など怒り心頭の意見が非常に目立つ。
MCの坂上忍は「発達障害と認めたがらない親もいますからねぇ」など問題提起をしたつもりなのかもしれないが、特集するのであれば、教育評論家だけでなく専門ドクターを招くなど、もう少しきちんとした準備が必要ではないかとの声も少なくない。これでは理解が深まるどころか、偏見を助長するだけだろう。
(笠松和美)