教育現場で子どもたちを見ていると、一人ひとりの成長スピードが全く違うことに気付かされるのですが、とりわけ、兄弟姉妹がいる子どもたちの成長スピードには驚かされるばかりです。実は、上の子のことを下の子が尊敬すると、さまざまな相乗効果が生まれるのです。
ある日、上の子の塾の送迎で、お母さんと一緒にお迎えにきた弟Nくん。椅子を持ってきて、一生懸命教室を覗こうとします。お母さんに止められながらも、なんとか覗きに成功。褒められているお兄ちゃんの姿を見て、目をキラキラと輝かせていました。お兄ちゃんが教室から出てくると、すかさず抱きついたNくん。「おにいちゃん、かっこいい~!」と、思わず大きな声をあげていました。
そんなNくん、塾ではかなり積極的。どんなことも挑戦してみよう、もっと上手になりたい!と、やる気いっぱいで目の前のことに集中しています。お兄ちゃんができることを知っているため、頑張ればできるようになるとも思えているようです。
Nくんのように、お兄ちゃんのようになりたい!と思っている子は、何度も練習して一刻も早くできるようになろうと試行錯誤をします。その結果、お兄ちゃんと同じ学年の計算ができるようになったり、お兄ちゃんの学ぶ内容を知って知識を増やしたり、いいことだらけ。できないことがあっても、これからできるようになるから心配いらないよ、ということさえしっかり認識できていれば(大人が説明する必要もあります)、自信を失うことはありません。憧れは成長の原動力となるのです。
一方、下の子に尊敬されている上の子も、ぐんぐん力を伸ばします。教えることで理解が深まりますし、かっこいいお兄ちゃん・お姉ちゃんでいたいと思うことで、前向きに挑戦できるからです。
これらは兄弟姉妹に限ったことではなく、一人っ子でも、憧れの先輩がいることで同じように成長できます。子どもが小さいうちは、異学年の交流がとてもいい刺激になりますから、ぜひ、身近な“上の子”との時間をたっぷりつくってあげてください。
(Nao Kiyota)