「YOU、○○しちゃいなよ!」──これはジャニーズ事務所・ジャニー喜多川社長の名言。すっかり浸透し、バラエティ番組のコーナータイトルになったこともあった。所属タレントが何人もいるため、顔と名前が一致していないことを理由に“YOU”とひとくくりにしたことが、そのルーツだ。
しかし、“YOU”のあとにくる言葉は的を射ており、それによって人生を大きく変えたタレントがいる。関ジャニ∞・安田章大もそのひとりだ。
「安田が言われたのは、『YOUは器用貧乏だからダメだよ』でした。ダメ出しと思えるこの言葉を『逆に全部を極めたらエエんや』といいほうに安田は解釈。その結果、趣味を増やし、歌、ダンス、演奏スキルも高めてすべてを底上げしようと思い、行動に移したそうです。驚くのは、この言葉をジャニーさんは、安田が入所間もないころにかけている点。箸にも棒にもかからない段階で、ヤスの才能を見抜いていたんです」(アイドル誌ライター)
関ジャニでは同じく、村上信五もジャニーさんからコテンパンに言われている。「(渋谷)すばるは歌がうまいのに、YOUはなんでそんなに歌ヘタなの?」。もともと村上は、吉本興業に入ってお笑い芸人になりたかった。しゃべる素地は学生時代にできあがっていたためか、歌ではなくバラエティで勝負させようと、ジャニー社長はあえて突き放したのかもしれない。
「現在、メニエール病の再発によって活動休止中のタッキー&翼の今井翼は、入所直後の中学生のとき、『YOUはダンスがいいね』とベタ褒めされています。この言葉がきっかけになって今井は、無関心だったダンスに目覚めた。25歳のときにスペインへ飛んでフラメンコを習得。日本人初のスペイン文化特使に任命され、11年からおよそ2年間、語学講座『テレビでスペイン語』(Eテレ)のナビゲーターを務めました。日本大学国際関係学部でスペイン語の教鞭をとったこともあり、日本とスペインの交流400周年を祝うセレモニーの開幕イベントでは、オールスペイン語でスピーチしています」(エンタメ誌ライター)
生き馬の目を抜くジャニーズの世界で、安田は関ジャニのメインボーカリストのひとりとなり、村上は個人レギュラーがメンバー最多となった。今井は習得したフラメンコを、主演舞台でしっかり生かしている。ジャニー社長の助言は極めて的確で、タレントの才能を何度も開花させてきたのだ。
(北村ともこ)