夏バテの予防にと、冷房の設定温度を調節し、3食の食事もしっかり取っているのに、なぜか疲労感が抜けない……。そんな場合は、「糖質バテ」の可能性があります。予想される猛暑を健康体で乗り切るためには、「血糖値のコントロール」を意識して過ごすことも大事なのです。
循環器専門医の池谷敏郎さんによると、夏に起こりがちな「食生活の乱れ」「運動不足」「睡眠不足」といった3つの習慣は、「血糖値の乱降下」を招き、夏バテのような疲労感につながるそうです。そこで、それぞれについて、その原因をみていきましょう。
■食生活の乱れ
猛暑が続くと、糖質の多い清涼飲料水や冷やし中華、そうめんなどの冷たい麺類に食生活が偏りがちに。このような糖質に偏った食生活は、血糖値を急上昇させるため、血糖値の乱降下を招くのです。
■運動不足
外が暑いと部屋でじっとしてしまいがちですが、とくに食後の運動不足は血糖値の急上昇の一因です。さらに、運動不足が続くと血糖値を下げる役割を担うインスリンの効きが悪くなり、血糖値のコントロール力が下がります。
■睡眠不足
寝苦しい日々が続いて睡眠時間が短くなると、満腹ホルモンの『レプチン』が減り、空腹ホルモンの『グレリン』が増加。その結果、過食に走りやすくなり、血糖値の急上昇を引き起こします。また、異常に上昇した血糖値を下げようと多量のインスリンが分泌され、今度は逆に食後の血糖値の低下が生じます。
これらのような血糖値の過度な上昇や反動で生じる低血糖は、食後の眠気や倦怠感を引き起こし、夏の間に余分な脂肪を蓄積しやすくします。『秋太り』の原因にもなりますので、注意が必要です。
血糖値の急上昇・乱降下を防ぐためにも、糖質の摂り過ぎは厳禁。そして、食事の際は、おかずからゆっくり食べるようにすること。血糖値の急上昇が防ぎやすくなります。冷やし中華やそうめんなどの糖質が多い料理を食べる際には、食後血糖値の上昇を抑える効果が期待できる「まいたけ」と一緒に食べるのがオススメと池谷さん。糖尿病や高血圧といった血管系への健康効果が明らかになりつつある栄養素『ビタミンD』も、摂取することができるそうですよ。
食事以外には、運動不足や睡眠不足に陥らないよう、生活リズムを整えることも大切ですね。今年の夏も猛暑が予想されます。今一度生活を見直して、夏本番に備えましょう。
(美容・健康ライター Nao Kiyota)