ダイエットや家族の健康を守るために、栄養バランスを考えて色とりどりの野菜を積極的に料理に使うよう心がけている人は多いでしょう。でも実は、一見して健康食に見える“彩り豊かな料理”には、意外な落とし穴があるのです。
エバラ食品工業が、子どもからシニアまでの男女724人を対象に実施したインターネット調査「食事と栄養に関する、意識と実態の調査」(有効回答数719人。子どもの回答は自身ではなく、小学生の子供を持つ女性の回答)で普段の食事内容を尋ねた結果、肉や魚料理の主菜に加え、トマトやニンジン、きゅうりなどのカラフルな野菜を使った副菜やスープを添えて食べている人が多いことがわかりました。
医学博士・管理栄養士の本多京子さんは、この結果をみて「一見すると、品数もありカラフルな野菜が入っていて栄養バランスがよさそうですが、多くの人の食事で、ビタミン類、食物繊維、鉄分やカルシウムなどのミネラル類が不足しがちとわかりました。例えば、差し色によく使われるトマトでは100g(大玉トマトの約半分)で1.0g(※1)、レタスでは100g(約1/3個)で1.1g(※1)の食物繊維しか摂れません。1日に必要な食物繊維量は、成人男性で20g以上、女性で18g以上(※2)とされているため、差し色感覚で野菜を足すだけでは、不足しがちなビタミン類や食物繊維、鉄分、カルシウムを十分に補うことはできません。また、今回多くの料理で過剰だったのは塩分です。味付けの仕方を工夫したり、薬味を使うことで上手にコントロールしたいですね」と指摘しています。
(※1)日本食品標準成分表2015年版より
(※2)日本人の食事摂取基準2015年版より
そして、ビタミン・ミネラル不足を解消するポイントを本多さんにうかがったところ、牛肉や豚肉、レバーなどは、たんぱく質を摂りながら不足しがちなビタミン・ミネラルを補給するのにうってつけだそうです。牛赤身肉は、とくに女性に必要な鉄分を効率よく摂取することができ、ヒレやももなどの豚赤身肉は、糖質のエネルギー代謝に欠かせないビタミンB1を多く含んでいるそう。このように、副菜の野菜だけでなく、主菜の肉にも注目して栄養バランスを整えたいですね。
(美容・健康ライター Nao Kiyota)