若者から絶大な支持を受けているミュージシャンの米津玄師が、大みそかの「第69回NHK紅白歌合戦」に故郷・徳島からの中継で出場することが決まった。今回歌唱する「Lemon」を制作していた昨年12月に祖父を亡くした米津は、〈祖父が暮らした故郷で歌唱することに何か大きな意味があるような気がして、NHKからの提案を快諾させていただきました〉と、出演を決めた理由をツイッターで明かしている。
その理由に加えて、NHKからの度重なるオファーが米津の心を揺り動かしたのもまた事実だろう。果たしてNHKではどんな秘策を使ったというのか。その一端が、12月25日にEテレで放送された番組に表れていたという。女性誌のライターが指摘する。
「ほとんどテレビに出ない米津は、生出演はおろかVTRでさえインタビュー動画が少し流れる程度。ところがこの日放送された『〈NHK)2020応援ソング「パプリカ」5分番組 パプリカプロジェクト紹介』では、米津が小学生たちと談笑する自然な姿が映し出されたのです。米津はNHKが主催する“2020応援ソングプロジェクト”に『パプリカ』という楽曲を提供。その曲を歌う5人組の小学生ユニット“Foorin”と戯れる様子が流れると、視聴者からは『これほどしゃべる米津玄師、初めて見た!』『こんな声してたんだ』といった驚きの声が続出。同プロジェクトを通してNHKが米津と築いてきた信頼感が表れていました」
Foorinが歌う「パプリカ」は8月15日にシングルリリースされており、「みんなのうた」(NHK)でも8月・9月の曲として流れていた。そのFoorinのオーディションには米津自身も参加しており、メンバーが決まってから彼らのイメージに合わせて「パプリカ」を制作したという。
「グループ名は米津がメンバーたちを風鈴にたとえたことをきっかけですし、キービジュアルではメンバー5人の肩を米津が父親のように抱きかかえている姿が印象的です。シングル発売時にマイナビニュースで公開されたインタビューでは、メンバーたちと同じくらいの年頃だった自分を楽曲に自己投影していると説明。徳島にあった祖父母の家についても触れ、〈自分の音楽がどこからやってきたのかを考えたときに、最初にたどり着くのはそこなんです〉と語っていました。その言葉は、米津が紅白出演にあたって祖父について語ったくだりと重なります。それゆえFoorinとの出会い、そして『パプリカ』を作ったことが、今回の紅白出演に繋がっているのではないでしょうか」(前出・女性誌ライター)
自分の曲を歌うことで人生が大きく動いたFoorinのメンバーを念頭に、「自分はその5人の後を押すカタパルトのような機能を果たさなければならない」とも語っていた米津。今回の紅白出演には、そんな気持ちも込められているのかもしれない。
(白根麻子)