昨年4月に引退を表明した、フィギュアスケートのパトリック・チャンが、ロシアのメディアによるインタビューに答えた。
羽生結弦選手に敗れ、銀メダルに終わったソチ五輪後に1年間休養に入った時期も含め、常に自分の人生をどう組み立てて行くのかを悩んでいたという。自分からスケートを取ってしまったら何もない。何をすればいいのか。どうすればいいのか…。
「トップ選手は幼い頃からスケート漬けの生活で、それに匹敵するほど気持ちを注げる対象が見つからないということがあるんです。チャンは、1年間の休養を経て復帰しましたが、フィギュアという慣れ親しんだ日々があることで心身ともに安定したそうです。高橋大輔選手も復帰後、毎日の練習が喜びで、滑れる嬉しさを感じたと語っていました。喜びを感じる場所にいられるうちはいいですが、スケート選手に限らず、アスリートにとって第二のキャリアを探すことは、思いのほか難しいことなのです」(スポーツライター)
そんなキャリア探し、自分探しについて選手たちに積極的に考えさせるのが、羽生選手が師と仰ぐブライアン・オーサーコーチだ。オーサーコーチは、自分の人生をこれからどうデザインしていきたいのかを考え、そこにスケートを位置付けて行くようにと生徒たちと話すのだとか。羽生選手も、オーサーコーチからそれこそが大事な課題であると説かれ、今後について考えることを課されているという。
「チャンは、まだ具体的な進路を決めてはいないようですが、カナダ産のワイン好きなので、資金が間に合えばワイン醸造を将来のビジネスの一部にするかもしれないと答えていました」(前出・スポーツライター)
自国のワインのよさを世界に広めたいというところは、国を背負って戦ってきて身についた愛国心があるからなのかもしれない。
(芝公子)