子どもたちの学びの現場にいると、「起きるのが遅くて朝ごはんを食べられなかった」「お腹すいた~」などの声を聞くこともしばしば。朝ごはんを食べていない子は、疲れている表情を見せたり集中力が続かなかったり、エネルギー不足を感じます。お母さんたちからも、「朝が弱くて食事を取りたがらない」というお悩みをいただくことが増えてきました。そこで、子どもと朝ごはんについて、いくつかの問題を考えてみましょう。
早稲田大学研究戦略センター教授の枝川義邦さんによると、適切な時間の睡眠をとったうえで、「毎朝決まった時刻に起き、決まった時刻にしっかりと朝食を取る」といった規則正しい生活は、1日を軽快にスタートするために非常に重要なことなのだそうです。人間の体内時計は1周が24時間よりやや長く設定されているため、放っておくとどんどん1日24時間のリズムから遅れていきます。このリズムを整えるのに効果的なのが、「朝起きたら太陽の光を浴びる」ことと「毎朝決まった時間に朝食を取り、脳や身体のスイッチを日中モードに切り替えること」なんだとか。つまり、その日の活力は、朝食が生み出すといってもよいかもしれませんね。では、朝ごはんに最適な栄養は何でしょうか。
脳のエネルギー源は「ブドウ糖」。ごはんやパン、パスタなどの炭水化物や果物、はちみつなどに豊富に含まれています。寝ている間は食事をしないのでブドウ糖が不足しがちになるため、小学校生活で体や脳を動かす子どもは、とくに朝食で補充することが大切です。朝から食欲が出る子どもならば、おにぎりやごはんにおかず、お味噌汁などを組み合わせ、身体を作るたんぱく質(納豆や卵焼き、焼き魚など)や消化・吸収をサポートし腸内環境を整える食物繊維(野菜や海藻類)を一緒に摂るようにするとよいでしょう。
まだ眠たい朝にごはんを食べることが苦手な子どもの場合は、パクッと一口で食べられる甘いものを「おめざ」として渡してあげるとよいでしょう。最初の一口をお菓子で楽しむと、体が目覚めて朝食を食べられるようになる子もいます。飲み物なら受け付けるという場合は、スポーツ飲料やコーンスープ、ココアなども◎。栄養面を考えるなら、一口大にカットした果物や、サッカーボールのようにまん丸で一口で食べられるおにぎりなどもいいですね。子どもがうれしいという気持ちで気軽に口に運ぶことができるものを用意してあげると、エネルギー補給もしやすくなりますよ。
小学校時代の子どもたちは、身体も心もグンと成長する時期です。このタイミングで栄養不足が続けば、その後の発達に影響があることは言うまでもありません。毎日思いっきり駆け回り、思いっきり考えることができるよう、朝食で背中を押してあげたいですね。
(Nao Kiyota)