アクシデントで振り返る「平成テレビ」。
1999年、お笑いコンビ・ナインティナインの岡村隆史がオーディション番組「ASAYAN」(テレビ東京)でスタジオ内を飛び回っていたハエを捕まえようと大振りで右腕を振り回すと、勢いあまってそのまま激しく転倒。豪快に反転しながら倒れたその光景に観覧客からは爆笑と拍手が巻き起こったが、右肩に全体重がのし掛かるような態勢で倒れた岡村はうずくまった挙句スタジオから退場し、最終的には入院するまでに至った。
また、“負傷者”を複数回にわたって出し続けたいわくつきの番組もある。
2018年春に放送を終了したフジテレビ系の「とんねるずのみなさんのおかげでした」では、これまでにおぎやはぎの小木博明やずんのやすが収録中に骨折などの負傷を経験し、歌手の葛城ユキもまた“人間大砲”なる無茶な企画で胸椎骨折の重傷を負った。番組側は度重なる負傷者が出ようが、その方針を大幅に改変することはなく、過激な落とし穴ドッキリなどのカラダを張った企画を芸人だけでなく歌手やモデルらに敢行。フジテレビのバラエティ史に残る名物番組だったが、とんねるずによる度を越したモラルが時代にマッチしないとして賛否をもたらしていた。
偶然とはいえ、太田光が「ENGEIグランドスラム」で足を滑らせた原因となったスタジオ床の生クリームも、サプライズで登場した石橋貴明がケーキを爆破する演出で飛び散ったものだ。もちろんはしゃぎ過ぎていた太田の激しいアクションが直接の原因ではあるが、少しでも場を盛り上げようというアツい空気感の漂うテレビ番組の収録は、常に危険と隣り合わせな環境なのかもしれない。
(木村慎吾)