「お笑い」という一つの分野においても、会社が変わればその礼儀作法やルールも変わるということだろうか。爆笑問題の太田光による“先輩”ぜんじろうへの呼び捨て騒動が大きく話題を集めている。
事の発端は、4月7日放送の「サンデー・ジャポン」(TBS系)でピエール瀧被告の薬物騒動を取り上げていた際、ぜんじろうの“物言いツイート”についてコメントした太田による「ぜんじろうは相変わらず厄介だね」との発言だ。これについてぜんじろうは自身のツイッター上で「日本の芸能界で後輩の太田くんにサンジャポで『ぜんじろう』呼ばわりされてちょっとだけイラっとする不思議(笑い)」とつぶやき、不快感をあらわに。すると、このツイートに対しても太田はラジオ番組で「てめぇ、いつから俺の先輩になったんだ、ふざけんな三流芸人よ」と再び挑発。2人のベテラン芸人による激しい対立構造が注目を集めていた。
そうなると気になるのは、太田光とぜんじろうとでは、果たしてどちらが“先輩”に当たるのかという部分である。
「まず、この2人が揉めている要因としては、芸人としての先輩・後輩をどのように定義付けするかの価値観が、事務所や芸人によって異なるという事実があります。基本的には芸人同士では“芸歴”を基準に先輩・後輩を決め、芸能界でプロの芸人として活動した年数で考えることが多く、この“芸歴”基準であれば、わずか1~2年ほどぜんじろうが先輩ということになります。ぜんじろうの所属する吉本興業では半年でも早く業界入りしていれば、はっきりと先輩・後輩を分ける慣習がありますが、お笑いの世界に住んでいるのは吉本の芸人だけではなく、様々な価値観があります。たとえば多少の芸歴の差よりも、全国区での知名度や社会的立場を優先する考えもありますし、どれだけの高視聴率番組でMCを任されてきたかなど、現在の活躍の度合や人気・実力をパロメーターにするケースもあります」(テレビ誌ライター)
つまり、わずか1~2年の芸歴を除けば、年齢を含め、ほぼ全ての要素で太田がぜんじろうよりも“先輩”と考えることもできる。現にぜんじろうはかつて太田を“兄さん”と呼んでいたことを太田からバラされており、本人にも芸歴以上の“タレントとしての差”を自覚していたのかもしれない。
また、ナインティナインの岡村隆史は今回の騒動について、“太田側が完全に悪い”とのスタンスを示し、「ぜんじろうさんの方が絶対に太田より先輩」だと発言したが、吉本興業に籍を置く岡村の先輩・後輩の定義は“芸歴”によるものであり、わずか数年であろうが先にデビューした方が先輩だという吉本流を貫いた一意見に過ぎない。
また、師匠に弟子入りしていた期間や路上での漫才活動、養成所での修行期間を“芸歴”の開始に含めるのか、という考え方も各々で異なるため、本当の意味での“芸歴”を比較するのはもはや同じ事務所に所属している者同士でもない限りは非常に困難だと言えそうだ。
太田光vsぜんじろうの“先輩・後輩”騒動は今後も尾を引くことになるかもしれない?
(木村慎吾)