芸歴か年齢か、それとも…?
お笑いコンビ・爆笑問題の太田光とぜんじろうによる“先輩・後輩”騒動が大きな物議を醸したが、そもそも芸能人同士を比較し、どちらが先輩でどちらが後輩かを定義付けることは時に困難なケースも存在する。
一般的に最も多く採用されている考え方として、デビューした年や“芸能人”としての活動を開始した年、いわゆる「芸歴」で比較するというものがあるが、大物タレントの間でも例外的なやり取りが交わされていることが多く、全てに適応できる基準とも言えない事情がある。
たとえば、フジテレビの「ダウンタウンなう」を盛り上げるお笑いコンビ・ダウンタウンの松本人志&浜田雅功と、タレントの坂上忍の間にも芸歴と縦関係の“ねじれ”が生じている。同番組内で坂上はダウンタウンの2人を「松本さん」「浜田さん」と呼称し、自身が後輩のように振る舞うと、浜田も坂上を「忍」と下の名前で呼び捨てにする。しかし、芸能人としての活動歴である“芸歴”で比較すれば、子役として3歳から活動していた坂上は48年目に達し、ダウンタウンはまだ35年目だ。
「13年も先輩とは思えないほど、坂上がダウンタウンへの気遣いを見せている理由は本人のみぞ知る話ですが、坂上のように役者や司会業、歌手、バラエティータレントなど様々なジャンルで活動するマルチタレントは、“役者ならこちらが先輩だが、歌手としては向こうが先輩”といった分野毎に分けて考えるケースもあります。そうでなければ多くの場面で不都合が生じ、子役としての活動期間を芸歴に含められる坂上は、芸歴47年目のビートたけしよりも1年先輩という扱いになってしまいますが、坂上が72歳のたけしを「おい、北野」と呼ぶ姿は想像が付かないですからね。3歳から芸歴をスタートさせられる役者の世界と、一般的に20歳前後でのデビューが多い芸人の世界とを単純に活動歴で比べることはあまり意味がないと言えるでしょう」(テレビ誌ライター)
こと“芸歴”のみの観点でタレントを比較するなら、現在芸能界で活躍する主要な著名人の中では、5歳から活動していた堺正章の68年目という芸歴がズバ抜けて長く、和田アキ子(51年目)や北島三郎(57年目)といった重鎮らのひと回り先輩であり、肉薄するのは20歳から女優やタレントとして活動してきた芸歴66年目の黒柳徹子ぐらいだろうか。
やはり子役時代から活動してきたベテランのタレントを他ジャンルの同年代の芸能人が芸歴で上回ることはほぼ不可能なことがわかるが、どんな物差しで先輩・後輩を定義付けるかが十人十色な為、“超ベテラン”の堺正章も他ジャンルの大物タレントについて言及する際は“さん付け”で呼称することが多い。
つまり、芸歴が1年ほど長いぜんじろうを乱暴に呼び捨てにした太田についても、もしくは、わずか1年程度の差を過剰に気にするぜんじろうについても、マチャアキからすれば目くそ鼻くそといったところかもしれない。
(木村慎吾)