「平成」におけるテレビ番組を仕切った個性溢れる優秀な司会者・MCを紹介しながら、どのようなメソッドでお茶の間を盛り上げてきたのかを分析。バラエティ界の“大司会者”明石家さんまを「嫌い」と明言したのが、ダウンタウンの松本人志だった。
松本は大先輩のさんまについて論じたラジオ番組の放送回にて、相手のボケに一切笑わず、自分以外から笑いが生まれることを嫌がるさんまの進行スタイルを「そのやり方はハッキリ言ってズルい」「俺はそういうやり方は嫌いやから」などと一蹴。「スタジオになるべく多くの笑いがあった方が良い」とし、「お前もお前で笑いを奪え、俺は俺で笑いを奪いにいくから、っていう姿勢でやりたい」との持論を展開していた。ダウンタウンにおいて司会者としての役割を果たすのは主に浜田雅功ではあるが、トーク番組では進行に近い立場を担うこともある松本だけに、この発言は2人の不仲説を大いに勘ぐらせるものとなった。
一方、その相方である浜田は“暴力”でゲストをまとめるという荒技が一種の風物詩のような存在となった異端児でもある。
2012年まで放送していた音楽番組「HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP」(フジテレビ系)での“逸話”だ。
「出演したミュージシャンの間では、“浜田に頭をド突かれると売れる”とのジンクスがいつしか蔓延し、次第に自らすすんでボケ倒すことで浜田からのド突きを頂戴する者も現れるほどでした。コンビではなく単独でのテレビ出演時には主にアスリートや役者といった、松本人志が幅を効かせるお笑いの世界とは距離を置いた分野で“ド突き進行”を披露した浜田は、ボキャブラリーや知性を生かした“ひねった笑い”ではなく、引っ叩くことを売りにするという我流に執心する姿はまさしくパイオニアともいうべき新手のスタイルだったと言えるでしょう」(テレビ誌ライター)
“One for all”の精神から“独壇場”を謳歌するスタイルまで、一口に司会者と言ってもそのやり方やポリシーは十人十色というわけだが、あえて「平成No.1」のMCを選ぶとすれば、パート1で紹介した、「感謝祭」という難解なステージをさばき続ける今田耕司となるだろうか。
「令和」でも引き続き“特濃キャラ”の司会者たちによる独自の回し芸に注目していきたいところだ。
(木村慎吾)