広瀬すずがヒロインを務めるNHK連続テレビ小説「なつぞら」の視聴率が好調だ。4月24日の第21話放送時点で20%割れの回は一つもなく、平均視聴率は22.3%をマーク。21世紀の37作品中で6位タイにつけ、ここ5作品ではベストの数字となっている。その好調ぶりについて芸能記者が指摘する。
「いまや映画やCMで大活躍の広瀬ですが、意外にもテレビドラマではこれといった成功作がなく、今回の『なつぞら』がやっと代表作と呼べる作品になりそうです。そして広瀬は本作のヒットによりやっと、昨年の主演ドラマで味わった屈辱を払拭できるのではないでしょうか」
その屈辱とは、18年1月期に主演したドラマ「anone」(日本テレビ系)の惨敗だ。同作で広瀬はネットカフェに寝泊まりしながらその日暮らしをする天涯孤独の少女を演じるも、偽札作りを軸に展開される奇妙な人間模様が視聴者からの共感を得られず、数字は低迷。ヒット作ぞろいの水曜22時枠にて、ここ10年で最低となる平均視聴率6.1%と爆死したのである。
その「anone」では回を重ねるごとに、広瀬を実の娘のように可愛がる田中裕子を中心にストーリーが進むようになり、広瀬はほとんど脇役の扱いに。そして物語は陰鬱な雰囲気のまま進み、広瀬はただ戦犯の濡れ衣だけを着せられてしまったのだ。
「そんな『anone』の失敗は、大物脚本家の坂元裕二氏が時代を読み違えたという評価がもっぱらです。坂元氏は16年1月期の有村架純主演ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)でも若者の生態を描きながら、誰もSNSを使わずに留守電を吹き込むという時代錯誤ぶりを露呈。そして『anone』ではウェットすぎる描写に加え、演者にやたらと人生訓じみたセリフを語らせるところに古さが露呈し、視聴者離れを招いたと言われています。それゆえ放送当時から『真の戦犯は坂元裕二』との声は大きかったのですが、主演だった広瀬へのバッシングもやみませんでした。そんなお門違いの戦犯扱いも、今回の『なつぞら』のヒットでやっと払拭できるに違いありません」(前出・芸能記者)
ちなみに坂元氏と、「なつぞら」の脚本を担当する大森寿美男氏は同い年の51歳。どうやら時代に寄り添えるかどうかは年齢の問題ではなさそうだ。
(白根麻子)