お笑いコンビ・オリエンタルラジオの中田敦彦が運営するYouTubeチャンネル「中田敦彦のYouTube大学」の登録者が50万人を突破し、破竹のペースでトップユーチューバーとしての立場を構築している。
“子供に安心して見せられるチャンネル”。「中田敦彦のYouTube大学」を一言で表現するなら、そのような評価になる。昨今のユーチューバーといえば、公共の場での一般人への迷惑を顧みない過激な振る舞いや、子供への教育上決して好ましくないようなコンテンツで視聴者を呼び込む類の“稚拙なチャンネル”を運営することが多かったが、中田は当初から完璧に異なる色を確立していた。
チンギス・ハンや秦の始皇帝を始め、歴史上の偉人を深く掘り下げた世界史教材のような動画や、スティーブ・ジョブズやイーロン・マスクなどの現代のパイオニアを魅力的に紹介するシリーズもあり、その全てに一貫して言えることは「為になるコンテンツ」であるという点だ。また、他の多くのユーチューバーのように、動画毎に異なるジャンルの戯れを収録するのではなく、受験生や学生にとって有益な学問的知識に分野を特化している点もまた“YouTube大学”が異様なペースで登録者を増やしている所以だろう。
現在の“中田敦彦のYouTube大学”というチャンネル名に変更し、まるで人気予備校の授業を意識したようなテイストとなったのは今年5月に入って以降のこと。そこからおよそ2カ月ほどで登録者は急増し、7月7日にチャンネル登録者40万人突破を盛大に祝ったかと思えば、7月12日現在では約53万人もの登録者を抱えるに至っている。
「これまでのYouTuberといえば、世の母親からすれば“子供に見せたくない”コンテンツに溢れているとのイメージが蔓延していましたが、見れば見るほど博学になり、日本史や世界史の知識が増えていくとなれば、中田のチャンネルが絶大な支持を受けるのも当然でしょう。また、各投稿動画は約20分前後もあり、人気ユーチューバーの中では異例の長さです。多くの場合、動画を長くしてしまうと視聴途中で他チャンネルへと逃げられ離脱率が上がってしまい、結果として広告収益額に影響するだけでなく、YouTube側からのチャンネル評価も下がってしまうとされています。しかし、中田はテレビで鍛えた話芸によって円滑なテンポとリズムを維持し、最後まできっちりと視聴させられる濃厚な内容に仕立てています。参戦当初からこれほど高い完成度を誇るチャンネルは稀有なケースと言えますね」(テレビ誌ライター)
吉本興業の養成所在籍時代から地上波テレビ放送でレギュラー番組を勝ち取った超エリートかと思えば、その後は一気に人気が急降下し、天国と地獄を経験するも、“チャラ男の藤森慎吾”に対して“インテリの中田敦彦”というキャラクターの確立に成功し、再び名声を回復。現在はそのプラットフォームをYouTubeへと移し、変わらない才能を発揮し続けている。
色褪せない武勇伝を体現し続けるあっちゃんは、周囲の想像以上に“パーフェクトヒューマン”だったということだろうか。
(木村慎吾)