2019年5月に、アメリカのサンディエゴで開催された消化器学会(米国消化器病習慣病)で発表された「日本人の慢性便秘症とQOL(生活の質)の大規模調査結果」によると、慢性便秘症の人は年間「約122万円の損失」があるのだとか。
慢性便秘症となると、欠勤までには至らずとも体調が万全でないため、遅刻や早退などで仕事を中断する割合が多く、非便秘患者と比較して「労働生産性が約1.7倍低い」そうです。所得差だけでなく精神面での影響にもつながるようで、便秘を放置せずに適切な治療や生活の工夫を取り入れる必要がありそうです。
この大規模調査を行った兵庫医科大学の三輪洋人さん(内科学・消化管科主任教授/慢性便秘症診療ガイドライン2017委員長)によると、便秘対策で重要なのは「水分摂取」「食物繊維の摂取」「運動」の3つだそう。適度な水分摂取と運動はもちろん、食物繊維の摂取は対策としてとても重要で、保湿力が高く食物繊維が豊富な食材としてオススメなのが「キウイフルーツ」なんだとか。
ちなみに日本人の食物繊維の摂取量は、厚生労働省の国民生活・栄養調査によると、基準の18~20gを下まわり、平均で14.4g程度だそう。食物繊維を豊富に含む食品にはバナナ(100gあたり約1g)、生わかめ(100gあたり約3g)、こんにゃく(100gあたり約3g)などがありますが、不足分の4~6gの食物繊維をこれらの食品で摂ろうとすると、なかなか大変です。前出の三輪さんは、キウイフルーツの場合は、1つ(約100g)につき約3gの食物繊維を補うことができるため、1日2個摂ることで足りない分の食物繊維を補うことができるといいます。
便秘は「体質」と考えられがちですが、経済的な損失として考えると、仕事や生活の質を下げる大きな原因にもなっているようです。「体質だから治らない」と諦めるのではなく、食生活や運動習慣を整えるところから始めましょう。それでも治らない頑固な便秘の場合は、我慢をせずに専門医を受診することをオススメします。
(美容・健康ライター Nao Kiyota)