9月は、SMAPファンにとって忘れられない月だ。前身グループ「スケートボーイズ」から数えておよそ3年5カ月後となる91年9月9日、SMAPとして念願の1stシングルCD「Can’t Stop!!‐LOVING‐」がリリースされたからだ。
発売前日(9月8日)には、埼玉・西武園ゆうえんち・波のプールでファンイベントを開催。台風で機材トラブルに見舞われ、歌唱途中で音声が途切れるハプニングが発生しており、ファンのあいだでは「伝説のイベント」として語り継がれている。貴重なその映像は今年7月、ジャニーズ事務所の創業者・ジャニー喜多川氏が逝去した際、多くのワイドショーや情報番組で流れた。
SMAPはデビューイヤーから96年まで、6人グループだった。現在はオートレーサーの森且行は1996年でグループを卒業。ジャニーズ事務所を退所した。
森は、口下手でおとなしかったという。根っから明るく、元ヤンキーであることを公言していた中居正広と真逆だ。
しかし、プライベートでケンカっぱやいのは、中居ではなく森だったと、当時を知るアイドル誌のライターは振り返る。
「森で思いだされるのは、テレビ朝日系列で生放送されていた『桜っ子クラブ』のコーナー“気合一発!! ザ・男対決”で見せたハイキック。素人学生を相手にした騎馬戦で、興奮した学生に最初、ミドルキックを放ったのは草なぎ剛でした。カメラに向かってポーズを決めていたその背後で、別の学生に森が華麗なハイキックをお見舞いしています。食らった学生はフラフラと倒れ、急きょCMに移りました」
生放送だったため、急きょカメラを遮って沈静化を図ったのは、最年少で中学生の香取慎吾だった。
森の暴れん坊列伝は、まだある。
「デビューが決まると、SMAPにようやく担当マネージャーがつき、移動は電車から社用車に昇格しました。車移動のとき、窓の外でヤンキーたちが騒ぎはじめ、車を揺らすという事件が起こりました。はめていた指輪でボディを殴り、傷つける者までいたそうです。マネージャーさんは急いで車を発進させましたが、森さんは『ちょっとUターンして』とムチャなお願い。ヤンキーたちが残っている場所まで行って、車から降りて、ケンカを吹っ掛けたそうです。車内に残っていたメンバーは止めざるを得ず、一時騒然になったとか」(前出・アイドル誌ライター)
幸いにも、メンバーは大事に至らなかった。ちなみにこのとき、1人で車内に残っていたのは稲垣吾郎。「あとで聞かれたときに報告するため」メモを取っていたという。
SMAPデビューから28年。誕生月の9月は、今なお全国各地の熱心なSMAPファンがあらゆる形で祝福。“聖地”西武園ゆうえんちでは、毎年ファンの姿が見られるという。
(北村ともこ)