ウォルト・ディズニー・ピクチャーズが製作する最新作「アナと雪の女王2」の興行収入が12月14日、全世界で10億ドルの大台を突破し、前人未到の新記録を達成することとなった。
11月22日より日米で同時公開された同作は、封切りから1カ月にも満たない内にアメリカ国内での興行収入を3億6650万ドルとし、日本でも最短で60億円を突破すると、日米以外でも記録的なペースで興収を上げ、全世界での累計も10億ドルを超えている。
映画界では、世界での“興収10億ドル超え”はメガヒット作品の境界線としての壁とされており、ディズニーは2019年だけですでにこの“10億ドル超え”の作品を5つもリリース。今回の「アナ雪2」を含め、年内で合計6本目を数えたことは映画史上初となる快挙である。
「『アベンジャーズ/エンドゲーム』に始まり、『ライオン・キング』『キャプテン・マーベル』『アラジン』『トイ・ストーリー4』そして今回の『アナと雪の女王2』という6本の強力なラインナップを飾った2019年のディズニー。やはり10億ドルの興収を樹立する上でポイントとなるのは“北米以外”の市場をいかに制圧できるかでしょう。アメリカ国内だけでの興収で9億ドルもの記録を打ち立てた『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のような特例もありますが、基本的には超メガヒットとなっても北米のみでは5~6億ドルが限度で、残りは日本やイギリス、そして中国の映画市場の手を借りなければなりません。その点において、最近のディズニーは自社が製作してきた世界中で愛される不朽の名作を実写化し、家族向け映画のリバイバルへ莫大な投資を続けてきました。結果として、アメコミ作品などのようにアメリカ国内において爆発的な人気を見せる“内弁慶な作品”よりも、国籍を問わずに老若男女から愛される『美女と野獣』や『アラジン』『ライオン・キング』といった作品で凄まじい興収を上げることに成功しています」(テレビ誌ライター)
10億ドル超えの特大ヒットを連発するディズニーは、もはやアメリカ人だけを満足させていては事足りないほど、より万能的な人気を誇るコンテンツの製作に力を入れてきた。
今回の新記録は、国籍の壁を越えて愛され続けるディズニーだからこそ踏み入れることのできる、あまりにスケールの大きな偉業と言えるだろう。
(木村慎吾)