核家族化が進み、さらに生涯未婚率も上がる中、少人数や単身者世帯も増えているのを背景に、「多くの人の死は『ひとり死』となりえる」と、死生学・生活設計・余暇論の権威である小谷みどりさんは話します。
一般的には「孤独死」と呼ばれますが、それをポジティブにとらえ、遺族や周囲など、残される人にできるだけ迷惑をかけないための「ひとり死」が今、注目されているようです。たとえ1人で亡くなったとしても、死後できるだけ早く発見されることで周囲の負担を減らせるようにするためには、準備が重要です。自分の親世代については、そろそろ考えておくのもいいかもしれません。
例えば、家事援助サービスや対面で受け取る宅配サービスなど、定期訪問のあるサービスを契約しておくことで、定期的に訪れるスタッフに異変に気付いてもらえる可能性が高くなります。また、郵便局員が30分間おしゃべりをして様子を確認してくれる郵便局の「みまもりサービス」なら、よりリアルに相手の様子を見てもらうことができます。
IoTの力を利用することもできます。「部屋の住人が生きているか」が分かるセンサーを設置する方法です。例えば、「LASHIC(ラシク)」という機器は、テレビ台の上などに設置し、室温、湿度、照度、運動量・動きなどをリアルタイムで測定し、スマートフォンでその様子を伺えるセンサー。「センサーなんて大ごと」と思ってしまいますが、月額980円と意外と手軽に利用できます。
さらに、ベッドに取り付ける「LASHIC-sleep(ラシクスリープ)」と連動させると、睡眠時の姿勢を確認し、脈拍を測って異常があればスマホなどにプッシュ通知を受けることも可能です。
他にも、趣味サークルに所属するるなど、定期的に誰かと会う仕組みを作っておくのもいいでしょう。最初に発見してもらいたいのは、知らない人よりも、やはり仲のよい、信頼のおける友人のほうではないでしょうか。
こうした“気づいてもらえる”仕組みを備えておくことで、少しでも幸せな「ひとり死」を迎えたいものです。