嵐の大野智といえば、歌唱力、ダンスともにグループ随一。ジャニーズJr.時代、ダンスレッスンのコーチが、稽古場にやってきたJr.予備軍たちに対して「大野のうしろで踊れ」と指示したほど、そのスキルは抜きん出ていた。
ダンスコンテストで優勝したといった実績があったわけではない。にもかかわらず、習得スピードの速さと華麗さには、目を見張るものがあった。当時をよく知るアイドル誌ライターは言う。
「彼がダンスに秀でた理由のひとつに、アキレス腱が異常なまでに強いということが挙げられます。メンバーのボディメンテナンスを担当しているトレーナーがいるんですが、その人が相葉雅紀をマッサージしたとき、『大野さんのアキレス腱はアスリート以上です』とベタ褒めしたといいます。体幹がしっかりしていて、バランス感覚も優れているのは、この強靭なアキレス腱と何らかの関係があるのかもしれません」
幼いころから、運動神経は良かった。リズム感も養われていたのは、両親の影響だろう。
「大野のご両親は若いころ、そろって音楽が好きでした。お父さんはドラムをやっていて、お母さんは大のディスコ好き。友だちと振り付けを考えてはディスコで踊って、フロアを先導していたらしい。そんな2人が結ばれたのは、音楽が好きという共通の趣味でした」(前出・アイドル誌ライター)
大野が小さい頃、マイケル・ジャクソンのミュージックビデオをまねると両親が喜んだため、何度も踊ってみせた。光GENJIの大ヒットソング「ガラスの十代」を覚えたのも、母の笑顔を見たかったからだ。その母がジャニーズ事務所に履歴書を送付して、興味がなかった芸能界の道に進んだ。
親が喜ぶ顔を見たい一心で、ダンスにのめり込んでいった心優しい大野少年。アラフォーになった今は、日本の頂点に立つスーパーアイドルグループのリーダーだ。父は「おまえにはもう何も言うことはない」とその活躍を認め、敬服しているという。
そのダンスがあと少しで見られなくなってしまうのは残念だ。
(北村ともこ)